小説『人間きょうふ症』41

 数週間して身体も動かせるようになり、私はやっと退院した。その後のことをいうと、以前に住むのを嫌がった、先生が友達から借りていたタワマンに居候することになった。初めて入るタワマンは、迫力がすごく、今までなかった感情を味わうことに。
 先生はカードキーを使い、部屋を開ける。
 「ここが部屋よ。今週はゆっくりしなね。」
 二人で部屋に入る。とても大きい空間に本がずらり並べられていた。いずれ憧れていた海外の図書館のような場所。私は、こんな場所に来ることを嫌がっていたことが不思議で仕方なかった。私が本に目を輝かしていたとき、先生はいう。
 「ここの本、読んで良いからね。」
 先生のこの言葉で読む気力が高まり、早速読み始めると決めた。
 ページをペラペラとたくさんめくっていく。知識が頭の中で収納され、一冊読み終わるごとに一種の快感を感じる。こうして本をたくさん読んでいくことで、本のタワーが大きくなっていく。それも一つの快感となっていった。

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