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映画雑記

ここ数か月映画をひたすら見ている。簡単な感想を(少々否定的な意見が目立つかもしれない)。

すずめの戸締り
彩度の高い、いわゆる美しい日本の風景が持ち味だといえるが、私は内容には正直なところ関心しなかった。その理由は
1.神道的な舞台を使用しているが、「みみず」的なものを地震の根幹の悪とみなす部分はむしろ神道と別の考え方が刷り込まれているのではないか。つまり神道を使用していながら別のものを語る感覚が妙な居心地の悪さを与える。
2.東北の震災の傷でさえ商売にしようという逞しさは、悪くはないと思うが、この映画でその傷を癒やそうという気がそもそも感じられないのは、虚構らしさしかないファンタジーの、わざとらしい演出が、3.11を使用することによって逆にその虚構の中に入っても行けず、現実を見つめる重さもなく、といった中途半端な感覚に陥ってしまうからなのかもしれない。

アバター ウェイオブウォーター
前作がどのようなものだったか忘れたが、この映画も見かけだけを楽しむのなら、ディスニーランドのようなアトラクションを楽しむのと同じやり方で楽しむことはできる。だが、白ける部分は登場人物の会話部分。ほとんどアメリカ人特有の間のとりかたが、やはり白人が作ったものであると私のようなイエローモンキーからみると、その言葉の酔いしれ方やテンポ、人間の距離感をみていると思う。そうするとCGで再現されている人外のものも、地球の特定された一民族の、少々野蛮であった面影を連想せざるを得なくなり、緑の背景の中、様々なスタッフが用意したアクションをこなす白人たちの映像が目に浮かんでしまうのである。
そうなると、過去に自分たちが追いやったり虐殺したりした民族への負い目として、こういった作品をつくり、何をどう思ったのか飛び火して、クジラやイルカを食う日本人の野蛮さを別の形で表現したのではないかとイエローモンキーとしては勘繰ってしまうようにもできている。

ブラックナイトパレード
漫画原作のコメディ映画。主人公がツッコミをするという、あまり見ない種類だった。あんまり面白くないな、と思いながら見ていたがあんがい見れた。

母性
キャスティングがうまくいっていると思った。原作の小説と少しテイストが違うのかもしれない、とも思った。
ひたすら女が耐える話にも見えるのが難点かもしれない。高畑淳子の演技がよい。農家の耐えに耐えに耐えたが、やはり恨みをもつ婆が息子の嫁に当たる姿を見事に表現している。戸田恵梨香の無機質な感じも好感がなぜかもてる。
すこし難点を言えば、最初の家族三人で済んでいる家が台風で大木で倒れた時に、窓が壊れたとはいえ、あのように人が寝ているところや棚のある深いところまで来るだろうか?とか、考えてしまうが、セットの問題まで言い出すとつまらないだろう。
別に母と娘の邂逅や葛藤等の感情が主題だろうとは思うが、そこに私は観点を置く必要なく見れた。つまり重くならず見れた。それは私が男であるからかもしれぬ。

THE FIRST SLAM DUNK
井上雄彦自身で映像化。映像のセンスもあると言っている感じもある。音楽をあまり使わないことが逆に集中して画面に入っていけるのがよい。だが3d特有の自然なようで不自然な奇妙な動きに違和感を感じる。低予算でがんばった感じを受けるが、それを抜きにしたら楽しめる。だがこれをコミックの知らない映画として、最初から一本の映画として楽しめたかと言われれば難点があるかもしれない。宮城リョータの物語を足した意味は特に無いようにも私には思えた。

ある男
妻夫木君は何をしても妻夫木君だと思った。これはこの役だからだろうか?一つのコンセプトを執拗に追及した良作だといえると思う。良いが記憶に残りにくいとも言えそう。だが、妻夫木君は妻夫木君なのだ。

と雑記しておく。





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