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現代貨幣理論(MMT)を中学生にもわかるようにざっくり書いてみる

MMT。一部政治家さんや学者が騒いでいるなんか流行ってるっぽいやつ。

最近だと政治家の山本太郎さんが積極的に言っている理論で、すっごい雑にいうと「国はいくら借金しても問題ないからどんどん国民にバラ撒けば景気が良くなる」といった感じ。

正直○○理論とかいう時点で堅苦しすぎて震えると思っている筆者です。

しかしどういう仕組みか理解していない=知的好奇心を満たせるチャンスだと思い、自分で調べてみました。結果完璧な理解にはほど遠いとは思うのですが、noteにアウトプットしながら学び、知識の共有をしたいと思い至りました。

(前提)経済学≠数学

まず、MMTというのは最近出てきた経済学の一意見です。

そもそも、経済学はややこしい計算をするので数学っぽい教科だと思われることがおおいですが、実際は過去起きた動きを数式化して今後を予想するために使われるだけであって、本質は社会とか世界史とかに近いです。

かつ、実際に小難しい数式を用いた予想が当たるかといったらそんな事はありません。というか競馬予想並にいい加減です。もしピタリと当たるなら経済学者は皆大金持ちのハズ。

そういう前提で、「こういう考え方もあるんじゃない?」と新しく出てきたのがMMTです。

【MMTの主張1】自分の国の通貨ならガンガン借金してOK

自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはない

国が100兆円の借金をしたとしてもその返済は日本円で行うので、返済するときに大量にお金を刷ればいいよねーっていう話。これが外国通貨(アメリカドルとか)だと自分たちで印刷できないので大量に刷った日本円を交換しなきゃいけない問題も出てくるので、日本円を日常的に使っている人限定で借金してる場合は有効。

国民から借金→国民に使う→お金を刷って返済→国民から借金・・・の無限ループ。

国が借金してもお金を増やせば返せるし、国民皆もお金がもらえてハッピー。

【MMTの主張2】借金してOKだからガンガンお金を使うべき

・財政赤字でも国はインフレが起きない範囲で支出を行うべき

どんどんお金を配っていくと、いずれ国民皆がそこそこのお金持ちになっていく。そうすると今まで買えなかったちょっといいお肉を食べたり、ブランド物の服を買ったり贅沢をするようになる。

すると企業の業績も上向くので、皆の給料があがる。そうなると購買力があがりモノが品薄になるので全体的に値段自体が上がっていく。けどお金はあるので高くても買えるようになる。そうなると企業の業績が・・・のループ。

インフレが起きない範囲がどれくらいの定義がすごく大変。

【MMTの主張3】税金があるから皆お金が欲しい

・税は財源ではなく通貨を流通させる仕組みである

これが一番感覚的にしっくりこない。
ので、たとえ話をします。

あなたに子供がいたとしましょう。
お皿洗い等お手伝いを何度お願いしても、子供は全然してくれません。
そこであなたは「一回お手伝いをしてくれたら私の名刺をあげるよ。で、この名刺を毎月3枚私に頂戴。できなかったら罰ゲームだよ」と伝えました。
そうすると子供は怒られたくないので、名刺をゲットするため(しぶしぶ)お手伝いをしてくれるようになりましたとさ。

子供は一番最初はお金を持っていません。だから一番最初に親がきっかけと罰を与えることで経済が生まれて、お金が回るようになるでしょと。

払わなければいけない名刺(税金)があるから労働をする。子供が複数人いるとするとみんな罰ゲームは受けたくないので労働するか、もしかしたら名刺と自分のおもちゃを交換して名刺を手に入れる。こうしてあなたの家庭では「あなたの名刺」が貨幣になりました。

つまり罰を回避するために需要が生まれて経済が出来上がるという説明なわけで、これまで経済学一般で言われていたお金をする権利がある人(中央銀行)が市場をコントロールするのではなく、税金を決める政治家がコントロールできるはずだ!という意味でとっても新しい論理なわけです。

【意見1】やっぱりインフレになるよね?

国がお金を配る。配るから国民はお金持ちになる。だから景気は良くなる。
ここまでは理解できますし私もそうなると思います。

ただし、逆にお金の価値は下がってしまいます。
100万円の貯金をしていたとして、昔は10円で買えていたうまい棒が今では15円みたいになると、
昔:100万円÷10円=100,000本
今:100万円÷15円=66,666本
みたいに、全部をモノに変えようとしたときの価値は弱くなってしまいます。これをインフレーションと呼びます。

基本的に景気は緩やかなインフレの方が何かと都合は良いのですが、何事もやり過ぎは良くない。あまりにやり過ぎると昨日10円で買えたうまい棒が明日は100円みたいな状態になってしまいかねず、こうなると日本円を持っててもすぐ紙切れになってしまう可能性があります。

【意見2】途中でやめることなんてできない

山本太郎さんはインフレ率2%を目処にガンガンやるべきだと主張しているけど、実際2%を達成したあとどうするんでしょうか。

皆にお金を配って一時的にお金持ちにして、ガンガンお金使ってもらうまではいいとして、ある程度景気が良くなったときに「そろそろ辞めまーす」なんてアナウンスしたら皆怒ると思います。
人間今までもらえていたものを急に奪われるのが一番イヤなもんです。

じゃなきゃ一気に大増税して一気に景気を締め上げる方法もありますけど、いずれにしても政府の支持率はガタ落ちになるからやれないと思います。
でも誰かがやらないと昔のドイツみたいにパン一個買うのに札束が何個も必要になる世界が待っています。

座ると偉くなれるけど、いつか爆発する椅子に座るようなこと誰もやりたくないと思うけど・・・

【意見3】円安待ったなし

そんな価額が不安定な通貨にしてしまうと、仮に国内ではなんとかなっても海外から見たら危なっかしくて使ってられない、価値が低い通貨になってしまいます。

例えば今大体1ドル114円くらいですが、これが200円ださないとドルに交換してくれなくなります。

そうなったら海外のものを輸入するときにとんでもないお金がかかるので、給料倍になったけど外から仕入れた野菜の値段は3倍みたいに相対的に生活が厳しくなると思います。

【まとめ】MMTはブレーキの付いていない車

事実として日本はまさに国債発行で国費を間に合わせている国で、すでに一般経済学の枠の中では捉えきれない状況です。理論通りならすでにインフレにならなきゃいけないのに実態として皆の給料は据え置きが続いています。

とはいえ、目先の景気を良くするために市場の貨幣流通量を増やすという方法は有効だとは思うものの、それを国債に頼るといつか償還期限が来るし、そこで無制限にばらまくとインフレ待ったなしだと思います。

しかし積極的に提唱している山本太郎さんでさえ、どうブレーキをかけるかには言及していないと思います。そんな方法はまだ確立されていないので。

なので、出口戦略まで描けたときに初めてMMTは検討に値するとは思うものの、現状では一時的なカンフル剤になるだけでその後の影響は図りしれず、私としては導入すべきではないだろうという結論に至りました。

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