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【番外編】そとここが生まれたのはこんなところ

里山のそとの愉しみ方を提案している「そとで、ここで(そとここ)」。

いつもは、そとでイベントを開催している私たちですが、私たちが住む「ここ」を、出会った素敵な人たちを、もっと知ってほしいという願いから、インタビューシリーズ「ここで過ごす日々」をお届けしています。

そとを愉しむヒントになったり、新しいことを始めるきっかけになったり、わたしたちの町に来てくれたら嬉しいです。


私たちが住む町は、愛媛県内子町(うちこちょう)。県庁所在地の松山市から車で約1時間の場所にある、人口15,000人ほどの町です。愛媛というと、四国の中でも瀬戸内海に面していて、温暖で柑橘栽培が盛んなイメージが強いかもしれませんが、内子町は海のない山あいの町。海はなくとも、美しい村並み、古いまち並み、手仕事の営みが残っています。

その地で暮らす人たちのインタビューの中では、地域名がたびたび出てきます。独特の読み方もあり、なかなかイメージが難しいかもしれませんので、登場する地域の概要を、そとここ目線で紹介します。


内子町の地域


●内子(うちこ)

内子町の中心エリア。江戸時代後期から明治時代にかけて木蝋(もくろう)の生産によって栄えた歴史があり、八日市・護国(ようかいち・ごこく)地区の町並みには、その面影が今も色濃く残っています。「町並み」と親しまれ、内子町に来る人が必ず訪れる場所の一つ。大正時代に建てられた芝居小屋「内子座」があり、芸術文化活動の拠点となっています。


飲食店が最も多く、商店街や大きなスーパーがあるのもこのエリアです。地元の人が「内子」と言うときはこの中心エリアや旧内子町エリアのことを指し、「内子町」と言うときは町全体のことを指します。


●石畳(いしだたみ)

旧内子町の北端にあたる「石畳」。栗や椎茸など農林業を主体とする地域で、かつては行き止まりの集落とも呼ばれていたそうです。現在は伊予市からの道が通り、松山市からもアクセスしやすくなっています。かつての懐かしい風景を再現しようと地域の人たちが水車小屋を復元して公園にした「石畳清流園(せいりゅうえん)」や屋根付き橋がある「弓削(ゆげ)神社」は、おすすめのスポット。道中の田園風景も楽しめます。


これらの美しい風景は、住民主体による「村並み」を保存する活動によって支えられてきました。現在の住民は、270名ほど。美しい景観を守り、ともに協力しあう暮らしを大切にしている人が多く、この地を守る強い意志を感じます。


●五十崎(いかざき)

内子と隣りあう場所にある五十崎は、100畳分の大凧をあげる「いかざき大凧合戦」が開催されたり、手漉き和紙の「大州(おおず)和紙」が今もつくられていることで有名なエリアです。大きな山々を背景に、小田川が流れ、広々とした田園風景が広がります。


2018年の西日本豪雨で海岸部から引っ越してきた人も多く、最近では新築の一軒家やアパートが増えているエリアです。


川とともに生きるお手本のような場所で、川漁や川遊び、バードウォッチングを楽しむ人が見られます。春は桜並木や菜の花がきれいで、川沿いのサイクリングも気持ち良く、おすすめです。


●御祓(みそぎ)

内子町役場(本庁舎)から車で10分ほどの場所にあり、旧五十崎町の山際のエリアです。石畳に負けず劣らない美しい里山風景があり、更に奥へ進むと神秘的な滝や、バリ島を思い起こさせる大きな棚田(泉谷の棚田)が広がっています。


このエリアには250名ほどの人が住んでおり、できる人ができることをする、ほどよく頼りあう文化が感じられます。兼業農家が多い中、「棚田米」や「御祓米」といった地域のブランド米づくりも積極的に行っています。


旧小学校を活用したカフェ「コミュニティースペースみそぎの里」が地域と地域外とを繋ぐスポットとなっており、そこがきっかけで移住者が増えていることから、今後の校舎の活用が注目されています。「そとで、ここで」でも、毎年桜の季節にみそぎの里でイベントを開催しています。


●大瀬(おおせ)


内子と小田の間にある大瀬は、柿やブドウなどの果樹をメインとした農業が盛んなエリアです。内子町の中でも大きめの農家さんが数軒あり、新規就農者の研修受け入れをしている農家さんもいます。山の上の方まで上がると、伸ばした手が太陽に届きそうなくらい開けているあおぞら空間が広がっています。


中心部の成留屋(なるや)地区は、小田川沿いの山あいに細長く続く歴史ある町並み。まちづくり事業の一環で、江戸時代の繁栄を偲ぶ、趣ある建築の家々が今も残されています。遍路道にもなっているため、お遍路さんが休むための屋根付き小屋、「東屋(あずまや)」が設置されています。



●小田(おだ)

内子町東部の小田は、小田川上流域の山あいに位置するエリアです。旧小田町のこの地域はもともと愛媛県の「東予(とうよ)地区」に属していたこともあり(内子町は南予(なんよ)地区)、内子・五十崎エリアとは少し異なる文化や人柄が感じられます。


林業が盛んで、豊富な木を利用したベンチや東屋がところどころに見られます。国有林の小田深山(おだみやま)を含む広い土地でありながら、人口は2,000人程度と、内子エリア、五十崎エリアの半分以下となっています。2019年に「おばあちゃんちよりもおばあちゃんち」をコンセプトに始まった「どい書店」が出来たことで20・30代の若者が次々と移住してきています。


観光地ではありませんが、地元の人に大切にされてきた桜や巨木の名所があります。また、地元のおいちゃんおばちゃんがつくる山菜天ぷらと、絶品たらいうどんが名物の「おんごく南山(みなみやま)山菜まつり」や、大きな花火があがる「寺村(てらむら)山の神火祭り」、お神輿や太鼓の演奏が華やかな「小田燈籠まつり」といったイベントも行われます。



●小田深山(おだみやま)

小田深山は小田エリアにある国有林で、美しい渓谷やスキー場があります。車で内子中心部から1時間、小田中心部から30分程の場所に位置しています。標高は1,000m級で、内子エリアと比べて7℃近い気温差があります。


新緑・避暑・紅葉・雪を求めて毎年通うファンも多く、手の入りすぎていない自然の中の自然を体感できる場所です。内子町の山好きが集まってつくられた「せんの森クラブ」による広葉樹の種拾いや植林などの保全活動も行われています。


そとで、ここでの誕生の地でもあり、毎年紅葉の時期にイベントを行っています。自然の音だけを聴いて、風を感じて身をゆだねるにはもってこいの場所です。


詳しく知りたい方は

一括りに里山といっても、その地域の風土や歴史、そこに住む人びとによって醸成される雰囲気があり、実際に住むとその違いが肌で感じられて奥深いです。インタビュー「ここで過ごす日々」では、それぞれの「ここ」で、地に足つけて暮らす人たちの声を、さまざまな切り口でお届けします。


内子町では、「そとここ」のほかにも、それぞれの地域で、自然や人、文化を体験できるプログラムがつくられています。まずは観光や体験から、里山の美しさ、あたたかな地域の人たち、美味しい食を味わってみませんか。移住や多拠点生活を考える方にもいいかもしれません。あなたの「ここ」が見つかりますように。


内子町を訪れた時に役立つサイト集

【観光】

内子さんぽ
https://www.we-love-uchiko.jp


うちこあそび(体験プログラム)
https://uchikoasobi.com


【移住】

うちこんかい
https://www.town.uchiko.ehime.jp/site/ijyu/list411-2333.html