またたく毎日 ー序ー

noteから席を外している3年の間に、結婚・妊娠・出産を経験した。

妊娠出産は稀有な経験であったけれど、思ったほど「自分」という人間は変わらなかった、というのが正直な感想。その時々のプライオリティは変化しても、やっぱり研究が好きだし、追い求める研究テーマや関心事はあまり変わらなかった。ただ「角度」はかわったかも。いずれにしても、私には、出産は「ビックバン」にはならなかった(笑)

まだ博士課程に入ったばかりの頃、エスノグラフィーを得意とする女性の先生が「妊娠中はいままでの自分には考えられないような理論研究ができた」と言っているのを聞き、「自分も妊娠したら思考回路が変わって違う視点から研究できるかも」なんて楽しみにしていた。いざ妊娠したら、妊娠してから出産するまですこぶる体調が悪くて、社会生活そのものにジョインできず毎日泣きながら過ごす、という結果に終わったけど。

その代わり、出産後は自分でも驚くほど頭も身体もクリアになり、比較的早く研究活動が再開できた。3ヶ月の頃から託児を利用して週に数回仕事を再開し、5ヶ月のときには学会発表2件、6ヶ月から子どもが保育園に入園してフルタイム並みに博士研究と非常勤の研究員の仕事、学内リサーチ・アシスタント業務ができるようになった。もちろんそこまでにかなりの紆余曲折と試行錯誤はあったし、なにより夫の協力があった。

29歳で駆け込み出産した娘は、昨日で1歳10ヶ月になった。

子育てをしながらの研究と仕事の毎日は、文字通り、瞬きをするように過ぎていく。仕事や研究の都合を考えてバースコントロールをする人も少なくないなか、正直言って、ぼんやりとしたビジョンのなかでの妊娠出産だったと思う。出産したとき私は既にD4だったし、子どもは保育園に入りづらいとされる早生まれ。現に、娘は予定日を大幅に遅れて生まれたため、0歳児入園の生後日数(たしか54日だったと思う)が足りず、内定していた保育園を辞退した経験がある。そもそも、同じく大学院生で出産をした人が近くにいなかったので、保活にしても、キャリア戦略にしても、ひとつひとつ手探り状態ですすめた。けれど、結果的にはどうにかなっているし、どうにかしている。後者についてはいまも試行錯誤の最中にあるけれど。

最近では会う人や後輩に、「子育てをしながらの研究はどうしているの?」とか「院生は保育園に入りにくいと聞くけどどうやって入れたの?」等聞かれることも増えたが、いかんせん状況依存的で説明が難しい話題でもある。で、「自分で書いて、記事URLを送った方が早いぞ」と気がついた。そういう事情もあり、遅まきながら備忘録的にそのあたりを書いていこうと思ってます。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?