プロテクター雑感
2022年のインカレーロードレースにおける落車死亡事故を端に石田眞大さんが提起した、自転車ロードレースにおけるプロテクター問題。事故から1年半が経過しましたが、自転車競技界では未だ大きな動きとはなっていません。そんな中、同じ競技者として、同じチームの後輩として、石田さんに続く流れを作りたいと思い、この記事を執筆しました。まだ社会人としての経験も無い、一高校生の記事ですが、一人でもこの競技の安全性について考え直すきっかけになれれば幸いです。
自己紹介
まずは簡単に自己紹介をしておきたいと思います。高校3年生(2024年4月から大学生)で、所属はスミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ。JBCFのE2をメインにロードレースとトラックレースに参加しています。今年から早稲田大学にも所属し、レース活動を行なっていく予定です。石田さんの後輩なので第三者目線とは言えるかは微妙なところですが、プロテクターをつけて実際にレースを走った感想を率直に書きます。
なお、受験勉強の関係からだいぶ寝かせていた記事に追記する形で記事を書いているので、記憶が曖昧な部分もあります。悪しからず。
感想
今回は石田さん同様デイトナSAS-TEC (以下サステック)を着けてみました。
購入直後
家に届いて袋から取り出してみると、生地はジャージのような素材で速乾性はありそう。私は身長173cm、胸囲約81cmなのでSサイズだと少し緩く感じました。
レース①(初着用)
今回は準備が遅れてしまい、プロテクターを着用しての初実走が西日本チャレンジロードレースA -J(2023.3.19@広島県立中央森林公園)になってしまいました。天候は晴れ。気温は約13℃。結果としては集団完走の19位でした。実際に走ってみて感じた点は以下の通りです。
「プロテクターをつけてる感」はあるが、気持ち悪さはない
背中が少し蒸れる
太ももとプロテクターが当たる時がある
裾が長く持て余してしまう
心拍計との干渉は無い
プロテクターのメリットは石田さんが多く書いているので、気になった点が多めになっています。ここで重要となるのは、どれも「プロテクターという存在に対しての不満」ではなく「サステックを自転車で使用する上での不満」であるということです。
サステックはロードレースで使用されることを想定していないため、蒸れや干渉などの問題が発生するのは当然とも言えます。だからこそ今後の普及のためにも自転車専用品の開発が急務であるように感じました(需要がないと作れない、という問題もありますが…)。
また、プロテクターをつけることによって変に自分を過信してしまうのではないか、とも思っていましたが、むしろ危険なスポーツをしているという実感が湧き、無理をしなくなったように感じました。
レース②(雨天)
プロテクター着用の2戦目はJBCF袋井・掛川ロードレースE2(2023.3.25)でした。環境は前回とうってかわって雨。気温は12℃程。気温的にはプロテクターを着用していた方がむしろ暖かく、嬉しいくらいでした。結果は自己最高、昇格目前の7位でした。
今回のレースでも、基本的には問題なく走れましたが、一つ気になったことがありました。それは、「水分を吸い過ぎてしまう」という点です。
サステックのSサイズが少し緩かったということもあり、水分を吸った腹部の布が重みを増し、ジャージと肌の間に少し空間を作ってしまっていました。私はレース中にそれ以上気にすることもなく走っていましたが、気になる人は気になるかもしれません。
レース③(猛暑)
続いてのレースは高校生にとっては国内最大のレースとも言える、インターハイ。函館での開催にも関わらず、猛暑の中でのレースとなりました(最高気温32.1℃)。
高体連レースでの着用実績がないため、まずは打診するところから。高体連の対応に納得いかないこともあるものの、ぐっとこらえて冷静に…
また、サステックのプロテクターそのままでは暑すぎるため、中のシールド部分を取り出し、パールイズミのインナーに取り付けてみました。
試行錯誤しながら試走を行いましたが結局あまりの暑さに断念。そもそもシールド部分の面積が多く熱がこもってしまうので、強度を保ちながら穴を多くするなど改善の余地はありそうです(プロテクターを外して臨んだ本番も残り2周で脚攣り)。最近は深部体温を下げるためのアイスベストなども登場しているので、組み合わせることはできるかも。
今後の可能性と情報の蓄積
ここまで長々と書いてきましたがいかがだったでしょうか。最後のインターハイも着用こそかないませんでしたが、暑さ対策の失敗の一つとして意義があったように思います。実は石田さんのインプレッションにはこんな箇所がありました。
函館と近い気温での感想です。このような違いがあるからこそ、少しでも多くの人(特に選手)に試してほしいのです。試したからといって長文のインプレッションを書く必要はありません。Twitterで一言書くだけでもいいです。そうした情報の蓄積が専用品の開発につながっていくことでしょう。
最後にもう一箇所石田さんのnoteを引用して終わりにしたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。ではまた。
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