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アメリカの転職市場は、日本の未来  ~今からヘッドハンターと信頼関係を築いておくべき理由~

田端信太郎さん(@tabbata)のヘッドハンティングに関するYouTube動画をアップしてツイートされていました。僕がコメント付きでリツイートしたら、田端さんにリツイートいただきました。

田端さんは、35歳を過ぎてもヘッドハンターから声がかからない人はヤバいと仰っていますが、みなさんはこれを聞いてピンと来ているでしょうか? 

「日本の有望企業を渡り歩いてきた田端さんだから、ヘッドハンターから声がかかるんでしょ? 普通のサラリーマンの自分には関係ないよ。」

と思っていませんか?

確かにヘッドハンティングや人材の引き抜きは、日本ではまだまだ一部のエリート層にしか縁のない話かもしれません。

でも終身雇用が崩壊して、業績の良い大起業でもリストラが行われる時代に突入しています。少子高齢化で労働人口が減っていく日本で、成長企業は生き残りをかけて優秀な人材の獲得に力を入れていくはずです。

田端さんの主張は、今起きている時代の変化を的確にとらえています。今の日本の状況を考えれば、日本の人材市場が流動化するのは必然です。給与レベルに関わらず、より身近なものになっていきます。あなたにとっても、他人事ではありません。これからの日本でサラリーマンとして生き残るためには、ヘッドハンターと上手く付き合っていくことが必須のスキルになります。

今日本の人材市場に起きている変化に対応するには、転職市場の流動化をすでに経験しているアメリカの事例がヒントになります。今回は、ヘッドハンターと上手く付き合う方法を、僕のアメリカでの転職経験を踏まえて解説したいと思います。

ヘッドハンターを使ってキャリアアップする

僕は社会人になってからの14年間をアメリカで過ごしました。14年の間に4回転職をしていて、その度にヘッドハンター・転職エージェントにお世話になっています。

2回は自分が転職先を探していたので自分からヘッドハンターにアプローチし、あとの2回はヘッドハンターから引き抜きのお話をいただきました。

14年で4回ということは、1社平均で約3年勤務した計算になります。これはアメリカでビジネスをしている人の感覚では、ごく普通のことです。転職をせずにずっと同じ会社にいる人はまれで、だいたいの人は3年から5年務めると、次の職場を目指します。

アメリカで転職をすると、給料が10~20%アップすることがザラにあります。同じ会社にいて20%の昇給があることはほとんど無いので、社内で昇給がない場合は転職することで収入をアップしていきます。

アメリカでは年功序列という考え方はそもそもないので、10年、20年同じ肩書のままということが普通にあります。日本でも「優秀な人から辞めていく」という話をよく聞くと思います。これはアメリカでも同じで、転職せずに同じ会社に居続ける人は、ヘッドハンターから声がかからない無能な人と思われる傾向があります。会社自体が成長していない場合、同じ会社に居続けることはリスクなのです。

早すぎるということはない

僕は新卒でデロイトという大手会計事務所に就職しました。Big4と呼ばれている会計事務所の最大手です。就職して2年目に、知らない電話番号から電話がかかってきました。ヘッドハンターからでした。

「これが噂のヘッドハンティングというやつか。ついに僕の才能が業界に知れ渡ってしまったか。」

と秘かにニヤっとしましたが、大きな勘違いでした。

ヘッドハンターは、デロイトの従業員に片っ端から電話をしているだけで、別に僕の名前など知らないわけです。自分が凄いわけではありません。会社が凄いのです。

この時点でヘッドハンターは、僕を引き抜こうとは全く思っていません。2~3年後に僕の価値が上がることを見越して、声をかけているのです。田端さん流に言えば、生けすをを作っているわけです。

就職活動の時に作ったレジュメ(履歴書)を2年分アップデートして、生けすに入れてもらいました。

自分の価値を知る

僕は、複数のヘッドハンターや転職エージェントにレジュメを送って、定期的に情報交換をするようになりました。レジュメを生けすに入れてもらうと、最新の人材募集の情報が手に入るようになります。自分のスキルでどういう職種でどんな給料が貰えるのか、自分の大体の市場価値がわかるようになりました。

気になる人材募集の情報があったらすぐにヘッドハンターに連絡をして内容を確認します。この時点でわかる情報は限られているので、ヘッドハンターに最新のレジュメを匿名で企業に送ってもらいます。企業が興味を示してくれたら、その時点で会社名などを開示してもらって面接に入ります。

転職をする予定がなくても、興味のある企業と面接してみるのは良いことです。結果的に自分にとって良い条件であれば転職をすればいいし、駄目でも業界内の他社の内情がわかる貴重な一次情報になります。面接でつながった人が、自分の人脈になることもあります。

何より内定をもらうことで、自分の市場価値がハッキリわかります。自分の現在の給与と、もらった内定を比べて高い方が自分の市場価値です。

自分の価値を知っていることが武器になる

サラリーマンとして生きていくうえで、自分の市場価値という情報は武器になります。自分の現在の給与や待遇が、妥当なのかどうかがわかるからです。

僕は、他の会社からもらった内定を上司に見せて、待遇改善を求めたことが何度かあります。

「上司に転職活動をしていたことがバレて大丈夫なの?」

と思われるかもしれませんが、問題ありません。

「この会社も同僚も大好きなんですが、正直なところ今の給与に不満を持っています。ためしに何社かと面接をしてみたところ、○○社から現在の給与の10%増しのオファーをいただきました。僕は今後もこの会社で頑張っていきたいと考えているのですが、○○社のオファーは非常に魅力的で悩んでいます。僕の給与を検討していただけないでしょうか?」

このようなやり取りで、自分の会社と交渉をします。会社が市場価値以上に自分を評価してくれているのなら、必ず検討してくれます。会社の自分に対する評価が市場価値より低いのであれば、転職すればいいのです。自分を評価してくれない会社に長居していても、良いことは一つもありません。

ただし一つ注意が必要です。他社からの内定を使って給与交渉をする場合は、実際に転職しても構わない企業からの内定を使いましょう。行きたくもない会社の内定をネタに交渉しても、自分で自分の首を絞める結果になります。

ヘッドハンターの役割

転職市場でのヘッドハンターの果たす役割は非常に大きいです。優秀なヘッドハンターの所には、市場に出回っていない有益な人材募集や、業界の裏情報が集まります。企業との信頼関係ができているからです。本当に価値のある情報は、インターネットには出ません。

優秀なヘッドハンターは、自分の生けすの中の人材と定期的に話して、その人の状況を常に把握しています。キャリア全般のアドバイスを提供してくれたり、履歴書の書き方や面接の練習など、転職活動に必要なノウハウを提供してくれます。

実際に企業と面接をする際には、自分のことを理解したうえで待遇面での交渉を一手に引き受けてくれます。採用担当者との信頼関係があり、企業のニーズや内部事情をきちんと理解しているので、交渉に応じられるかどうかの判断や、提示する条件のさじ加減などの微妙な判断をしてくれます。

ちなみにヘッドハンターは、企業の側から報酬をもらいます。人材の側である私たちは、こういったサービスをすべて無料で受けることができます。

ヘッドハンターの選び方

ヘッドハンターは、転職エージェントの社員であることがほとんどですが、自分の担当者であることが重要です。転職エージェントの中には、企業の人材募集に該当する人を片っ端から紹介するだけのサービスもたくさんあります。このような会社に登録して、その他大勢の一人になってもあまり意味はありません。ヘッドハンターとの関係は常に一対一です。自分のことをよく理解している人と、長く付き合うようにしてください。

優秀なヘッドハンターは、実際に付き合って見ないとわかりません。複数のヘッドハンターと付き合うことは、優秀なヘッドハンターを見分ける上で必要なプロセスです。提供してもらえる情報やアドバイスの質、そして本当に自分のキャリアを真剣に考えてくれているかどうかは、何度かやり取りをしてみないとわからないものです。

信頼できるヘッドハンターとの関係は、大切にしてください。ただ情報を貰うだけではなく、自分が持っている業界の情報を提供したり、自分の知り合いを紹介してあげることも重要です。ヘッドハンターと信頼関係ができていると、いざ自分が転職活動をする際に大きな差になります。

日本でも同じことが起きる

アメリカでは、年収400万円程度の人材からヘッドハンティングの対象になります。平均以上のスキルと年収がある人は、ほとんどの人が対象です。エリートに限った話ではないのです。

アメリカのビジネスマンは、普段からヘッドハンターと連絡を取り合って情報収集をし、いつでも転職活動ができるよう最新の履歴書を用意しています。

アメリカのビジネスマンは自助の精神が高く、自分の身は自分で守るという考え方が浸透しています。会社が守ってくれるというのが幻想だということを、良く知っているのです。

そんな厳しい世界を渡り歩くためには、優秀なパートナーが必要になるのです。それがヘッドハンターです。

日本の人材市場の流動化が進めば、日本でも確実に同じことが起きつつあります。今から動いて準備をしておかないと、変化に取り残されてしまいます。

あなたのキャリアを飛躍させてくれる、信頼できるヘッドハンターを探してみてください。 


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