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アメリカのコロナ経済対策についてまとめてみた

おはようございます。

日本では「和牛券」に続いて「マスク2枚」が話題になっているようですね。

僕が住むアメリカは、コロナ感染者数でも世界のトップに躍り出ましたが、経済対策の額も世界のトップを独走中です。

その額じつに220兆円。

アメリカは世界第一位の経済大国ですから、額が世界一なのは当然です。

では経済規模(GDP)と比べてみたらどうなると思います?

それがこちら

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アメリカの議会は、わずか12日間でGDPの10%規模のコロナ救援予算案を議論し、起草し、可決させました。

これがアメリカの凄い所です。

今日は、この220兆円の中身についてお話します。

CARES ACT

アメリカのコロナ経済対策法の正式名称は、Coronavirus AID, Relief, and Economic Security Actです。

略してCARES ACT。

略しても国が国民をケアしているみたいな意味になっているので、非常にわかりやすい。

いつも思うんですが、アメリカで法律を起草している人のネーミングセンスは最高です。

CARES ACTは、3月の中旬から下旬にかけて、様々な議論を経て可決されました。

まず最初に、3月13日に民主党から提出されたのは、低取得者向けの税額控除案でした。

税額控除は、所得税額を直接減額できるので、確定申告で税額控除分納税額が減ったり還付されたりします。

3日後の3月16日に、共和党から約11万円を一回支払う現金給付案が提示されました。

220兆円の救援予算の議論は、ここがスタート地点でした。

その後企業への救援策などが盛り込まれ、12日後には総額220兆円の救援予算がまとまりました。

アメリカは2大政党の国で、上院も下院も民主党と共和党の力がほぼ拮抗している状態です。

その後どのような議論を経て220兆円にまで膨らんだのか詳しいいきさつははわかりませんが、アメリカの国会議員が政党の枠組みを超えて12日間で合意に達したというのは素晴らしいことだと思います。

個人への補償(66兆円)

CARE ACTによる救援策の中で一番規模が大きいのは、個人への補償です。

220兆円の30%にあたる66兆円がこれにあてられます。

このうち約半分の33兆円が、個人の手に直接配られる現金給付です。

年収約825万円以下の人に、約13万円が直接給付されます。

825万円以上稼いでいる場合は徐々に減額があり、約1100万円の年収で給付額がゼロになる仕組みです。

子供がいる家庭の場合は、子供一人当たり約5万円が給付されます。

アメリカの現金給付は、一度きりです。

もう半分は、主に失業保険の補強にあてられます。

通常は、フリーランサーや個人事業主は失業保険の対象になりませんが、CARES ACTでは今年いっぱいの特例が設けられます。

さらにアメリカ政府系金融機関からの学生ローンと住宅ローンに関しては、6か月間の支払い停止が行われます。

大企業への補償(55兆円)

CARES ACTで次に大きいのは、コロナにより大きな影響を受けている業界に対する貸付けです。

大きな影響を受けた業界として一番わかりやすいのは、航空会社とその下請け企業などですが、約6兆円の貸付けが行われるようです。

貸付けなので支払いが発生します。

その他に、情報開示や報告義務、貸付け額による自社株の取得の禁止などの条件が課されます。

面白いのは、トランプ大統領を含めた政府関係者と議員、その配偶者、子供、義理の息子・娘を含めた家族が利益を享受することを、明確に禁止している点です。

中小企業への補償(41兆円)

CARE ACTには、社員500名以下の中小企業に対する補償も盛り込まれています。

ほとんどの企業経営者には、これが一番重要な補償になります。

41兆円の予算のうち、約39兆円が中小企業に対して貸付けに充てられます。

条件に該当する企業は、一社につき約11億円を上限に、取引先銀行から貸付けを受けることができます。

貸付けの上限額は、一月の人件費の2.5倍が目安です。

この貸付けのすごい所は、人件費、家賃、ローンの返済などの特定の目的に使用し、かつ社員の雇用を6月末まで確保し続けた場合のみ、返済が免除されるということです。

つまり条件を満たしていれば、1社につき最高約11億円までタダでもらえるということです。

中小企業には、これ以外にも短期的な事業コストを賄うために1社につき最高約110万円までの給付金が用意されています。

州及び地方政府への補償(37兆円)

CARES ACTは連邦政府の予算による補償ですが、各州の政府や地方自治体などに対する補償も含まれています。

この多くは、新型コロナウイルスに対する対処などに使用される予定です。

公共サービスへの補償(20兆円)

公共サービスへの補償の半分以上は、コロナ感染者への処置を行っている病院に対する支援です。

この他に、子供や低所得者向けの食料配布事業などに追加の支援が用意されています。

日本は大丈夫?

ここまで読んでいただいたうえで、もう一度先ほどのグラフを見てみましょうか。

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日本はまだ感染爆発や医療崩壊は起きていない状態ですが、経済への影響は深刻化している状態です。

この状況下で、日本政府が今のところ打ち出した政策は一世帯当たり2枚のマスク支給ですか?

ヨーロッパやアメリカでここ1ヶ月に起きたことを見ていれば、もっと抜本的な対策をしなければいけないのは明らかです。

僕はコロナの影響は、経済への影響の方が深刻だと考えています。

もっと状況が深刻になった時に、日本の政府が素早い対策をしてくれることを願っています。


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