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『三日月ファストパス』(毎週ショートショートnote)

国内・国外だけに留まらず
科学の進歩によって月への旅行が低コストで行けるようになり
ハネムーンは月と相場が決まっていた。

「困ったな、月には行きたいが、予約がいっぱいらしい」
「残念だわ、せっかくのお休みを取ったのに」
そこに現れたうさぎ耳をつけた少年。
「お客様、こちらはいかがでしょう?」
目の前には大きな三日月型の滑り台。

「子供の遊具で遊んでいる暇はないの」
「こちら『三日月ファストパス』と言って、順番待ちせず三日月の土地まで飛ぶことができるのです」
「なんと、それは便利だ」
「ただ問題点が、どの三日月の土地につくかはランダムでして……」
「なに、月にさえ着けば問題ないさ」
夫婦はファストパスの行使を決めた。

三日月型の滑り台を勢いよく滑り、飛び立ったが
だが行き先は月ではなく……トルコだった。
「なんだ、不良品だったのか」
「いや、もしかしたら勘違いしてたみたいよ」
二人の視線の先には赤地に白い三日月と星の旗が風になびいていて……





こちらの企画に参加させていただきました。


前回の作品はこちらです。

お読みいただきありがとうございました。

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