日高屋を詠む 2 「ほぐれない匿名のだれか」
とりあえず餃子と生ビールあと3点盛りね、というセリフを大脳を介さず言えるほど、まるで何かをプログラムされたかのように相変わらず飽きもせず同じルーチンを繰り返す。チェーン中華という匿名空間の中にある誰かの、少しだけ大切ななにかについて。
お二階へドウゾ油の染み付いた天国への階段は君とね
あなたとの日々の熱きは餃子にて幾晩となく幾晩となく
日高屋と君の引力は地球の28倍だって太陽
北風にチゲラーメンで体温をあげて互いに渡すミンティア
くっついた麺のようだねぼくたちは食べにくいけどほぐれたら、もう
割り切ったふたりの餃子6個入り 2で割る次はもう割り切れない
終電を気にするふりでハイボール頼むぼくらは夜に裁かれ
空ジョッキ跡のリングに指を浸けなにを描いたら笑ってくれる?
過去形にしたくて今は冷めきった餃子を捨てる朝を待ってる
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