Plasm Networkを世界で通用する国産ブロックチェーンにするために
Stake Technologiesは創業してからこれまでPlasm Networkを開発してきました。2019年は主に海外に主眼を置き、リソースの関係で日本語での発信はなかなかできませんでした。しかし、チームの拡大とPlasm Networkの実績がある程度出るようになってきたことを踏まえ2020年は日本語での発信もより一層強化してやっていきたいと思います。
さて、そもそもPlasm Networkとはなにか?ですが簡潔に述べると「パブリックブロックチェーンの最も重要な問題であるスケーラビリティを飛躍的に向上させる国産レイヤー1ブロックチェーンです。」技術的な詳細の前に開発にあたっての経緯をお話させてください。
Plasm Network開発にあたっての経緯
Plasm Networkは主にCTO山下を中心に開発が進められています。山下とは東京大学大学院ブロックチェーン寄付講座で出会いました。彼は2018年当時、IPA法人の未踏プロジェクトにて独自のブロックチェーンを作成しており、未踏プロジェクトの中でも優秀な成果を納めた人材に人が選ばれる未踏スーパークリエイターに選出されています。2018年当時我々が話し合ったのは、「日本から世界で使われるレイヤー1ブロックチェーンを出したいよね。」ということでした。世界を見てみればクリプト/ブロックチェーンが進んでいるシリコンバレー(アメリカ)しかり、ベルリン(ドイツ)しかり上海(中国)しかり各所でグローバルレイヤー1ブロックチェーンがあります。一方で日本では、グローバルで使われているレイヤー1ブロックチェーンはありません。
グローバルを攻めるというのは我々が一番こだわっていることであり、とても大事なことです。これには2つの理由があります。
1つ目は20年前のIT産業と同じ歴史は繰り返してはならないということです。過去これまでIT企業の戦い方は一般的に日本のマーケットを抑え、資金を確保した後、海外を攻めるという方法が主流だったと思います。もしくはタイムマシン経営と言われるようにシリコンバレーのアイデアを真似して国内に展開するというものでしょう。この戦い方はこの先も通用するのでしょうか?と考えると疑問が浮かびました。海外事例の国内展開はアップサイドが低いのに加え、国内マーケットは今後さらに縮小します。結局、今でさえ日常を見てみれば我々が普段使うサービスの多くはGoogleでありAmazonでありFacebookでありTwitterといった海外のサービスです。我々がスマホを開いてFacebookを開くのと同じくらいのレベルで国内外の人々が我々プロダクトを知らず知らず使っている(ブロックチェーンはインフラなので)のが理想です。そのためには最初から海外のデフォルトを抑えにいくプロジェクトを国内から出していかないといけないといけないと思っています。
2つ目は、日本のエンジニアがグローバルの最前線で情報を発信すること、それを通して業界標準に貢献をすることが会社としても日本のブロックチェーン業界としても重要であると考えているからです。日本のエンジニアがオープンソースの業界標準に貢献をできないと、極端な言い方をすれば将来的には誰も日本のエンジニアの声からは耳を傾けなくなります。Plasm Networkを通して日本のブロックチェーンの存在感をグローバルであげていきたいと思っています。
これまでの実績
これまでグローバルでやっていくんだ!ということを述べたのですが、幸いなことにPlasm Networkを開発し始めてからこれまで、グローバルでいくつかの実績を残すことができました。
例えば、プロダクトのローンチ(5月を見込んでいます)に向けた事前参加申し込みでは英語によるページしか作りませんでしたが、実に1ヶ月で3億円(2020/04/13時点)を超える申し込み額が世界各地からあり、我々の作成したスマートコントラクトにロックされました。
また、後述しますが、Plasm Networkはブロックチェーンのインターオペラビリティ問題を解決するPolkadotというプラットフォームにデフォルトで接続するように作られています。このPolkadotはWeb3.0財団によって作成されており、Web3.0財団はEthereumの共同創業者兼CTOであるGavin Wood氏によって設立されています。Stake Technologies及びPlasm Networkは過去このWeb3.0財団から5回に及ぶ助成金を獲得しており、この数は世界最多となります。(2020年3月時点)
また、アメリカの最難関名門大学であるUC Berkeleyの主導するブロックチェーンアクセラレーションプログラムでも、Plasm Networkが支援されています。
最近でいうと上記のPolkadotのライトペーパー(プロジェクトの紹介資料。一般的にブロックチェーンプロジェクトはホワイトペーパーという仕様書を公開する。ライトペーパーはそれをまとめたもの。)に数あるプロジェクトの中からPlasm Networkが記載されました。
これからは日本でも多くの方々に使ってもらうべく粛々と開発を進めていきます。
Plasm Networkの機能
Plasm NetworkはSubstrateというブロックチェーンフレームワークをもとに作成されています。SubstrateはParity Technologies社という世界トップクラスのブロックチェーン開発企業主導で作成されているオープンソースです。ParityもGavin Wood氏が中心となっている会社です。このSubstrateはlibp2p, WASM等の最先端技術が使用されており、長くなるので割愛しますが以下のような様々な特徴を持っています。
このSubstrateを用いているブロックチェーンはPolkadotという異なるブロックチェーンを接続しインターオペラビリティを実現するプラットフォームに接続することが可能です。関係性を見やすくするために図にしました。
Polkadotは異なるブロックチェーンを接続するブロックチェーンであり、ブロックチェーンの問題点であるインターオペラビリティを解決します。
一方で、Plasm Networkはブロックチェーンのスケーラビリティ問題を解決するブロックチェーンであり、Polkadotにレイヤー1ブロックチェーンとして接続します。そのPlasm Networkにレイヤー2ソリューションが実装されており、DAppsをレイヤー2で簡単に作れるようにしています。スケーラビリティ問題はパブリックブロックチェーンの抱える最も大きな問題点でありこの問題をレイヤー2ソリューションと、Polkadotに接続することによってインターオペラビリティの問題とともに解決します。スケーラブルな基盤を他のブロックチェーンと接続可能な形で提供できれば分散性を保ちつつ多くのトランザクションを捌くことができるようになります。これは将来的に決済やIoTの文脈で大きな恩恵をもたらすことになると思います。
今回は技術的なプロダクト紹介というよりはその背景となる部分を中心に話しました。5月1日のメインネットローンチに向け、粛々と準備していきます。プロダクトローンチ後にすぐオンラインミートアップも開催するのでぜひご参加ください。(Connpass Pageやっと作りました。)
本プロダクトに関するお問い合わせやビジネスの相談は info@stake.co.jp までご連絡ください!
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