イカれた野郎と大人ということ 映画「FIGHT CLUB」

Mr.Childrenの曲のタイトルになった映画である。と、こんな前置きは不要なほど、とても有名な映画だ。全編を通じたダークな雰囲気、テーマ、衝撃的なラスト、と見る人を選ぶ作品である。個人的には、エンターテイメントとして面白かった。「1999年、ミレニアムを間近にして」公開されたが、当時私は中学生。リアルタイムで見ていたらどハマリし、悪影響を受けていたかもしれない。

この映画では、「ブラピが熱演してた、イカれた野郎」が強い印象を残す。一見イカれたように見える野郎にも、普通の人同様に、それなりの思いと苦悩があるのだろう。そんな思いへの熱量が、普通の人では推し量れないほどまで高まると、時に理解不能な行動に出て、とんでもない結果を引き起こす。多くの男性は、思春期にそんな行動をする、もしくはそこから世界を救う、そんな自分を思い描いたことがあるものだと思う。

しかし、今は大人になり、大切なものが変わった。映画よりもMr.ChildrenのFIGHT CLUBに強く共感するようになった。ネットが普及し、匿名で自分の意見を世界中に発信できる昨今、自分の価値観が全てであり、それに合わないもの全て、さらに言えば世間全てが敵であるような物言いが目立つが、実はそんな敵は実在せず、そもそも戦う必要はないのだ。そんなことを考える自分は、気付かぬうちに年を取っていたのだなあ。FIGHT CLUBはそう感じる前、思春期に観ておくべき映画だったのだろうな。

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