自分の根っこ 中原基喜著「グローバル・ジャパニーズ」

ボーダレスな世の中と呼ばれて久しいこのご時世。自分のことを地球人だと称する人もいる。しかし、海外赴任を歴任してきた著者、中原氏はグローバル・ジャパニーズを自称する。この考えに私も深く共感する。私は世界で戦う日本人でありたい。本書は日本人が日本人として世界で戦うためのヒントを示してくれる。

多くの場合、3〜5年程度に渡る海外赴任。人生の決して短くない時間を使うからには、有意義なものにしたい。その最初の準備は赴任前にある。最初が肝心とはよく言われるが、拙いながらも現地の言葉を用いて自己紹介をし、部下と速やかに面談をすれば、どんな人だろうかという緊張感を緩和させ、きっと良いスタートを切ることができるだろう。部下との面談では、人となりに加えてどんなタイミングでコミュニケーションを取りたいかを確認しておくと後々スムーズ。

次に本格的な赴任後。日本では実務担当だった方が、海外では知らない分野の管理職を担うケースはままある。その時はマネジメントに注力しよう。実務は部下の方が詳しいので、分からないことは分からないと意思表示し、教えを乞う姿勢を持ちながら、報告のタイミングを明確にして丸投げにはしないこと。そうした役職に就くと、多くの場面で意思決定を迫られることになるが、そこは日本式の報告・連絡・相談に頼りすぎず、自分でリスクを取って決断し、一度決めたら部下の前ではぶれない姿を見せる。そうした修羅場経験が駐在員を強くする。また、選抜された存在である駐在員にとって、成果を出すのは当たり前のハードル。組織の永続性を高めるための仕組み構築、自分がいなくても問題なく回る後継者の人材育成を目標にしたい。

さて、本書のタイトルである「グローバル・ジャパニーズ」。海外赴任はタフなミッションであり、軸を持つことが必要だ。私にとってその軸の一つは、日本人であること。日本人ならではの良さがあると信じている私は、その軸を大事に、世界を相手に戦う、というよりも“共創”していきたい。

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