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終りのしるし  第1部 - 世界経済の危機の原因

第1部 - 世界経済の危機の原因

 現在、私たちの目の前にある経済危機は、全世界に住むクリスチャンにとって、重要な意味を持つ出来事だと言えます。この経済危機は、聖書の終末の預言の中でどのような意味を持つのでしょうか?どのような役割を果たすのでしょうか?今回の信仰記事では、経済危機と、バビロンに対する預言の関連性について、そして、迫っている主の再臨と終わりの時の艱難の到来について明らかにします。預言に表された再臨の前兆を研究しながら、主の再臨を待ち望む歩みが出来ますように願っています。―――編集室

 最近、アメリカを筆頭に、世界の経済が揺さぶられ、不況の波が押し寄せています。経済危機の嵐による沈滞は、2007年と2008年の前半期から始まったアメリカのサブプライムローンの問題によって押し寄せてきました。現在の世界株価は暴落して、巨大な銀行や企業が倒産する事態が続き、アメリカやヨーロッパなど、世界経済の中心では、これらに対する非常対策の準備に没頭しています。アメリカ政府は、経済恐慌寸前の深刻な事態の中、揺れる経済を救うため、救済金融資案を出して7千億ドルの公的資金を投資しましたが、この処置が差し迫っている経済危機を、どの程度立て直す方策になるかは未知数です。まずこの第1部では、現在直面している経済問題に対して、注意して調べてみましょう。

世界の経済危機を招いたアメリカの金融危機

1、サブプライムローン(非優良住宅担保貸出)
アメリカの金融危機の主な原因は「サブプライムローン」でした。サブプライムローンは、信用等級の低い人々を対象として、住宅価格のほとんど100%を貸し出しする代わりに、高い金利を受け取るアメリカの貸出プログラムでした。最初、この収益率は高く、ヘッジファンドや世界各金融企業体は、莫大な金額を投資する様になりました。ところが、アメリカの住宅価格の下降の勢いは止まらず、サブプライムローン貸し出し者たちが貸出した金額を償還する事が出来なくなり、サブプライムローン会社の不渡りと共に、そこへ投資していたアメリカを始め世界のヘッジファンド、銀行、保険会社などが連鎖的に崩壊していき、金融危機を招くことになりました。

サブプライムローンが盛んだった理由は、2000年代に始まった、突然の不動産市場の価格高騰と言えるでしょう。当時、アメリカ経済は萎縮してしまい、大幅な減税策を出しました。そうすると、政府の思惑通りに、人々は減税額を消費しようとする傾向が現れました。これによってアメリカ国内では、減税政策と金利の引き下げによる投資が加速されました。この投資行為が、不動産市場へも波及してきました。これをさらに推し進めたのがサブプライムローン政策です。この政策により、償還能力と関係なく、信用等級の低い人たちへさらに多く貸し出しを進めました。これらの貸出の実績が、金融機関に対する政府の重要な評価基準であったゆえ、ファニ-メイやフレディーマックのように、政府の保障と支援を受けていた会社は、なおいっそう危ない貸出をしてサブプライム市場を拡張して行きました。

 不動産の価格等級は、大勢の人々に投機心と投資心理を助長して、不動産市場は過熱していきました。アメリカの不動産市場には、投資行為を行う会社や人が大勢押し寄せ、活発な取引が成立していきました。アメリカでは数年のうちに、何百万軒の住宅がいきなり建てられました。しかし、これがバブル経済による不動産の動きであった事は、その当時だれも知りませんでした。一度バブルがはじけると、好況だとばかり信じていたアメリカの不動産市場の住宅価格は暴落し始めました。もともと貸し出し資金の償還能力がなかった信用等級の低い人々は、結局住宅を銀行へ引き渡さざるを得なくなりました。もし、不動産市場がそのまま好況であったならば、銀行は権利が移り、戻った住宅を売却して利益を得ることができました。しかしすでに、住宅の価格は貸し出し当時よりかなり下がっていて、その上、住宅の価格が下落し過ぎて、捨値で売却する以外になく、貸出の利子はおろか元金までも回収出来ない状況へ陥ってしまいました。こうして不動産市場は沈滞して、住宅ローン会社は破産し始めました。そして、ローン会社の破産は続き、ついに金融危機を招くことになりました。

2、アメリカの金融危機が世界経済へ及ぼした影響

 当初、サブプライムローンが盛況となり、アメリカのサブプライムローン会社へ投資すれば大きな利益を得ると考えた海外の投資家達が、群れになって押し寄せました。世界的な資産家や投資会社の資金が、アメリカのサブプライムローン会社へ大挙投入されました。ところが、大きなサブプライムローン会社や金融会社が倒産するようになって、投資家たちの利子は勿論のこと、元金さえも回収が困難になり、倒産の連鎖が起き、これがもとで世界経済市場に大きな影響が出ました。サブプライムローン問題によって発生した、世界的な金融危機は、アメリカの会社へ巨大な資金を投資してきた各国の投資家たちへ莫大な損失をもたらしました。

 アメリカ国内では、消費心理の萎縮と共に、わずか6カ月の間に、アメリカでトップ5に入る大きな金融会社が消えうせる事態が起きました。ベーアスタンスがJPモルガンを引き受け合併、リーマン・ブラザーズの破産申請、メリルリンチのBoA売却、AIG保険会社の危機などが次々に起きました。このように、サブプライムローンから始まったアメリカの金融危機は、政府による市場介入まで起きるほど大きな規模の危機になり、当時サブプライムローン会社へ多額の投資をしていた、アメリカ国内の世界銀行は大きな投資額の損失を招き、これが世界経済へ影響を及ぼす事になりました。金融市場で最も巨大であり、影響力のあるアメリカの金融市場が揺らぐ事によって、その影響が世界へ波及しています。

   金融危機の原因説

 今回到来した、金融危機に対する原因を分析する、各種の異なる説が出回っていますが、大きく二つ、自由主義と介入主義とに分けられると思います。クリスチャンとして、私たちはできるだけ偏見のない、客観的な立場で、この経済危機が私たちに与える霊的な意味を悟る事が何よりも重要だと言えます。

① 政府の干渉により引き起こされた金融危機説

 世間の経済学者の中では、今回到来した金融危機が、政府の干渉によって生じたものだと声を上げる人たちがいます。アダムスミス、ルートビヒポンポンミセス、フリードリヒフォンハイエク、ミルトンフリードマンなどの思想と学説に同意する自由主義者たちは、今回の事態が、アメリカ政府の低金利政策を使った政府介入が原因だと主張しています。彼らは、連邦銀行が低金利政策を進め、人為的にブームを醸成する事によって、これらのことが生じたと言います。アメリカは2000年に、経済が萎縮したことを受けて、連邦銀行の金利を6.5%から1%にするという急進的な引き下げを断行しました。これによって浮いたお金が、特に株式市場と住宅市場へ流れ込みバブルが生じるようにして、これらが経済危機をもたらしたというのです。すなわち、政府の干渉下で企図され、通貨拡大政策とサブプライムローン政策が住宅市場のバブル化を引き起こし、貸出元金の償還が始まると、延滞と償還不能が生じて問題が深まり、さらに、連邦銀行の高金利政策への変換は償還不能事態をもっと深刻化させ、これらが金融市場へと波及し金融危機へとつながったととらえました。彼らは、住宅市場のバブルは、政府の干渉がなかったとすれば、他の産業の部門で使えた資源を、政府が強制的に奪い取った結果だと主張しています。

② 人間の貪欲がもたらした金融危機説

 介入主義者たちは、今回の金融危機は、政府によって規制されなかったウォール街の貪欲が招いた災難と解釈します。ケインズの思想に同意する彼らは、サブプライム問題は、個人が借金して何軒もの家を買い取った貪欲的な投機から始まった事で、低金利の時代に変動金利でお金を借りた大勢の個人が、時間が過ぎて金利が高くなり、住宅の価格は下落し、貸し出し元金を正常に返さなくなって生じた事態だと主張します。すなわち、自分たちで作ったバブルの崩壊現象と言うのです。

意図された(?)経済危機

1、 経済危機の予見

 アメリカの経済危機はすでに、以前から予測(?)されていた事でした。2006年9月7日、ニューヨーク大学の経済学の教授であるヌリエル・ルビニはIMF講堂に集まっていた経済学者たちへ、アメリカの経済が12段階を経て崩壊して行く事について話しました。彼の12段階の崩壊論が段階的にあまりにも正確に当てはまっていたので、経済学界の預言者だとのうわさまで出て話題になりました。実際、アメリカの経済問題は15年前から始まった事だと言っても過言ではありません。経済大国として、アメリカは長い間、各国の投資対象国になっていて、アメリカ経済の好況と、ドル保有に対する熱望は、外国人投資家や各国が、アメリカへ投資するようにそそのかしました。そのように、世界各国からアメリカの銀行へ投資した資金が積まれてきましたが、その各国の資金は回収不能となり、そのあおりで世界経済が揺るがされる事態が生じました。

 アメリカの銀行資産は、一兆ドル(1trillion dollars)ですが、不動産への融資額は11,5兆ドル(11,5 trillion dollars)でした。不動産の融資額が15%回収できなくて破産した場合、アメリカの全ての銀行が倒産するところでした。1992年から2007年までにアメリカで新しく建てられた住宅は、2300万軒でした。これは、家が足らないためではなく、投資目的で買っておくため、また、急いで多くの利益を得ようとして起きた現象でした。今、アメリカの借金は想像を超えています。現在、アメリカ政府の負債―政府の各機関の予算や、個人や国への負債を合わせると、なんと、53兆ドルとなります。これを計算してみると、アメリカの各家庭が45万ドル借金をしている金額とないます。今回のアメリカの経済危機が、世界的に拡散した理由は、多くの国が、不実なアメリカの銀行や証券会社の株を、大量に買い込んだ事であって、アメリカとの貿易に依存している国が多いためということになります。

2、 意図された危機

 現在、アメリカ政府は体質の弱い銀行を引き受けようとしています。ところで、過去1930年代に起きたアメリカ経済大恐慌の時の事例に照らしてみると、政府が経済を支配して弱体企業を引き受けたり、借金を肩代わりしたりすると、かえって経済破綻をもたらした事を知ることが出来ます。こうした、アメリカの経済危機による世界的金融危機は、意図的なものであるとの意見があります。それは、アメリカの経済危機と、世界経済の危機を通して、新しい経済体制を結成して、全世界の経済を統制して支配する目的から始まったものであるとの意見です。ジョセフ・スティグリッツは、世界銀行の首席エコノミストであり、副総裁であって、2001年のノーベル経済学者受賞者です。彼はIMF(国際通貨基金)体制により、ある国家の経済が制約を受ける事に対して否定的な意見を述べています。理由は、そこから経済を支配する新体制が生じ、各国が不利益と不自由を被ることになる危険性があるからです。

 イギリスの首相ゴードン・ブラウン氏は、新しい金融体制を提案しましたが、第二次大戦以後に設立された金融協定であるIMFを無くして、新しい体制を作るべきだと提案しました。これからは、世界のあらゆる銀行を、一つの機関が統制する体制を整えるべきであると主張しています。また、世界の経済界は、現在直面している金融危機の原因と対処の方法を点検して、危機を解決する方案を論議する「G-20:金融危機頂上会談」の結果に注目しています。世界の先進7カ国と、韓国とロシアを含んだ準先進国13カ国、合計20カ国が集まって、世界に新しい経済体制を作り上げる事を論議するこの会議では、世界経済の主導国家が、協力な指導権を発揮することにより、国際金融部分の規制緩和と経済沈滞の拡散を防ぐ、共同行動計画を用意するようになるとフェリノ代弁人は説明したことがあります。

 このような経済界の動きは、聖書『黙示録』の、「この刻印のない者はみな、物を買うことも売ることもできないようにした」(黙示録13章17節)の預言の先触れを思わせます。やがて、世界経済が統一化し、その支配に従わない者を迫害する、そのような時代が、目の前に来ているのかもしれません。「ここに、知恵が必要である」(同13:18)


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