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問題Ⅲの対策法:衛生工学部門「廃棄物・資源循環」~技術士第二次試験~

本記事では、技術士第二次試験「選択問題Ⅲ」の対策法について、衛生工学部門の「廃棄物・資源循環」科目を対象として、以下に私見を述べます。

【1】 注意事項

・100点の答えにはなりません
・60点を目指すヒントとして捉えてください
★あくまでも、自力で考えることを忘れないでください。


【2】 問題Ⅲの過去問

 「日本技術士会」HPに公表されていますので、上記リンクより参照してください。

【3】 科目名の変更

 衛生工学部門では、R01年度の試験制度改正に伴い、科目の再編が行われた。現科目「廃棄物・資源循環」は旧科目「廃棄物管理」に相当する。したがって、後述の過去問題の傾向の整理において、H30年以前の問題は「廃棄物管理」を対象とする。

【4】 過去問題の傾向の整理

4.1 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)

 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)は、非常に多岐にわたっている。H25年~R05年の問題Ⅲの各テーマを以下に記載する。なお、R01年の試験制度改正前後で各問題のテーマの整理を区分する。

4.1.1 H25~H30年(試験制度改正前:当時の科目名は「廃棄物管理」)1)H25(2013):Ⅲ-1
 東日本大震災以降、震災への備えが今まで以上に求められている。
 そうした社会状況を考慮して、震災に対して安全・安心な廃棄物処理施設とする技術を提案する。

2)H25(2013):Ⅲ-2
 
近年、新興国を中心としたエネルギー需要の急増に伴う国際的な資源獲得競争の激化や、国内外における地球温暖化対策の強化が求められる状況の中、純国産のエネルギー源であり、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの果たす役割の重要性が高まってきている。
 このような状況を踏まえ、将来有望と考える再生可能エネルギーを、廃棄物処理施設に導入する。

3)H26(2014):Ⅲ-1
 
廃棄物については、概して、リサイクルに比べ、リデュース、リユースの2Rの取組に遅れがある。
 この背景を踏まえ、地域、業界、企業、工場・建設現場等の廃棄物排出現場、廃棄物処理施設のいずれか1つの立場で、廃棄物の2Rを推進する。

4)H26(2014):Ⅲ-2
 我が国では、廃棄物処理施設の長寿命化を図り、そのライフサイクルコストを低減することを通じ、効率的な更新整備や保全管理を充実するストックマネジメントの導入が推進されている。
 このような状況を考慮して、廃棄物処理施設におけるストックマネジメントを導入する。

5)H27(2015):Ⅲ-1
 近年、厳しい財政状況等により老朽化した廃棄物処理施設が増加しており、これらの施設の更新・改良を適切に行う。

6)H27(2015):Ⅲ-2
 廃棄物処理施設の整備に当たり、地域社会への貢献として、信頼確保の方策や地域社会への付加価値の創出方策を検討する。 

7)H28(2016):Ⅲ-1
 廃棄物処理施設を自立・分散型の低炭素エネルギーセンターとして、廃棄物エネルギーを一層活用することを検討する。

8)H28(2016):Ⅲ-2
 一般廃棄物の広域的な処理については、平成9年の厚生省通知 「ごみ処理の広域化計画について」の中で、都道府県に対して計画の策定、実施を求め、実施されてきたが、 今後の家庭系ごみ排出量の削減やますます進む人口減少社会を踏まえると、各地域の特性に応じた広域化をさらに推進することが重要である。
 このような状況を踏まえ、廃棄物処理施設の規模と広域化の現状を示した上で、広域化による施設整備に際し、 特に広域化の推進を検討する。 

9)H29(2017):Ⅲ-1

 廃棄物処理施設整備に当たり、施設立地に関する住民合意形成は特に重要であり、そのための信頼確保の方策や資源、エネルギーの利活用による地域社会への貢献といった方策が求められている。
 このような状況を踏まえ、廃棄物処理施設整備に際して、資源、エネルギー利活用による地域社会への貢献方策を提案する。 

10)H29(2017):Ⅲ-2
 廃棄物処理施設では、労働災害の発生が他産業に比べて突出して高い状況にある。労働災害が起こる大きな原因の1つに「ヒューマンエラー」 があり、また、可燃性物質や有害性のある化学物質に起因する廃棄物処理施設特有の労働災害もある。
 このような状況を踏まえ、廃棄物処理施設での労働災害の防止を検討する。

11)H30(2018):Ⅲ-1
 平成28年5月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」における対策の削減量の根拠として、「廃棄物処理における取組」の1つとして廃棄物焼却施設の新設、更新又は基幹改良時に施設規模に応じて高効率発電設備を導入することにより、電気の使用に伴うエネルギー起源二酸化炭素の排出量を削減することが示されている。一方、100t/日以下の能力のごみ焼却施設は全焼却施設数のほぼ半数を占めるが、ほとんどの施設で発電が行われていない。 将来の人口減少を考慮すると、広域化による施設の大規模化による高度なエネルギー回収と併せ中小廃棄物処理施設でのエネルギー回収の促進も求められているところである。
 このような状況を踏まえ、中小廃棄物処理施設(100t/日以下)におけるエネルギー回収を促進する。

12)H30(2018):Ⅲ-2
 
あらゆるものがインターネットとつながるAI技術やIoT技術の進歩が近年目 覚ましいものがある。
 このような状況を踏まえ、廃棄物処理施設におけるAI技術やIoT技術を導入する。 

4.1.2 R01~R05年(試験制度改正後)
1)R01(2019):Ⅲ-1
 第五次環境基本計画(平成30年4月17日閣議決定)において、各地域が自立・分散型の社会を形成し、地域資源等を補完し支え合う「地域循環共生圏」の創造を目指すとされた。
 この背景を踏まえ、廃棄物処理を核とする「地域循環共生圏」を構築する。

2)R01(2019):Ⅲ-2
 我が国では総人口が減少する中で高齢者が増加し、高齢化率が上昇を続けている。このため、廃棄物処理においても高齢化社会に対応したシステムを構築していく必要がある。しかし、現状の廃棄物処理システムが、将来の超高齢化社会にそのまま移行される可能性がある。
 この背景を踏まえ、高齢化社会に対応した廃棄物処理システムを構築する。 

3)R02(2020):Ⅲ-1
 環境と成長の好循環に結びつく環境課題の解決策(ソリューション)がビジネスチャンスになるような廃棄物処理が求められている。
 このような状況を考慮して、あなたが専門とする分野における廃棄物処理上の今日的な課題を解決する。

4)R02(2020):Ⅲ-2
 近年、地震による災害、台風や豪雨による水害等自然災害に見舞われる我が国においては、廃棄物処理施設は地域の防災拠点としての役割が期待されている。
 このような状況を踏まえ、処理施設の現状を踏まえた課題を解決する。 

5)R03(2021):Ⅲ-1
 廃棄物処理事業は国民の生活を維持するために不可欠なサービスの1つであるが、近年、自然災害や感染症等の発生により、地域における廃棄物の適正処理に支障を及ぼす事態が生じている。
 このような状況を踏まえ、廃棄物処理事業を継続する。

6)R03(2021):Ⅲ-2
 
廃プラスチックについては、資源循環、CO2削減、環境保全等、様々な面から、適切な処理が求められている。
 このような背景を踏まえ、廃プラスチックを適切な処理を行う。

7)R04(2022):Ⅲ-1
 新型コロナウイルス感染症の世界的大流行、ウクライナ侵攻に伴うロシアへの経済制裁は、日本経済に深刻な影響をもたらし、各自治体においても財政状況は厳しい。そうした中でも、廃棄物処理施設の老朽化は進み、施設の更新を適時、適切に実施していかなければならない。
 このような状況を踏まえ、廃棄物処理施設の更新を進める。

8)R04(2022):Ⅲ-2
 
近年、資源・エネルギー及び食糧の需要増大や廃棄物発生量の増加が世界全体で深刻化しており、一方通行型の線形経済 (Linear Economy) は限界に達しつつあるとされている。持続可能な形で資源を利用する循環経済(Circular Economy)への移行を目指すことは世界の潮流であり、持続可能で強靭な経済社会へのリデザイン(再設計)を強力に進めていくことが不可欠である。
 このような状況を踏まえ、循環経済への移行を実施する。

9)R05(2023):Ⅲ-1
 
廃棄物処理施設における労働災害、並びに有毒ガスや薬剤漏洩等の環境事故の防止に向けた取組は重要である。
 この背景を踏まえて、廃棄物処理施設において重大な事故を引き起こす要因と課題を抽出し、これらを解決する。

10)R05(2023):Ⅲ-2
 
厳しい財政状況、人口減少、担い手・技術者不足等による廃棄物処理の非効率化が懸念されている。この状況下にあって、将来にわたり持続可能な適正処理を確保していくためには、社会情勢等を踏まえ、中長期的な視点で安定的・効率的な廃棄物処理体制の在り方を検討することが重要であり、国の施策として廃棄物処理の広域化、廃棄物処理施設の集約化・大規模化が推進されている。
 これらの状況を踏まえ、廃棄物処理施設の集約化を検討する。

4.1.3 「テーマ」設定の有効性
 これらの「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を参考に、「廃棄物・資源循環」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを抽出することが、R06年以降の想定問題作成に有効と考える。

4.2 設問(1)の傾向・対策

 R01年以降、設問(1)~(3)の問題文は、部門・科目により違いがあるものの、おおむね統一されている。また、「廃棄物・資源循環」科目のR01年以降の設問(1)は、問題文が年々変化しているものの、大局的にほぼ共通である。ここでは過去問題を参考に、設問(1)の標準問題文を以下のとおり設定する。

★「テーマ」の実現に向け、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

 設問(1)では、この問題文がR06年以降の想定問題に引用できると考える。

4.3 設問(2)の傾向・対策

 R01以降、「廃棄物・資源循環」科目の設問(2)問題文は年々変化しているものの、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近のR05年の問いかけを参照として、設問(2)の標準問題文を以下のとおり設定する。

★前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考えるものを1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて具体的に示せ。

 R06年以降の設問(2)は、上記の問題文に類似した問いかけで出題されると考える。

4.4 設問(3)の傾向・対策

 R01以降、「廃棄物・資源循環」科目の設問(3)問題文は以下の問いかけでほぼ共通である。

★前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

 R06年以降の設問(3)は、上記の問題文に類似した問いかけで出題されると考える。

【5】 問題Ⅲ対策

 「廃棄物・資源循環」科目の問題Ⅲ対策として、前述した内容を踏まえ、以下に示す3つのレベルに対応する想定問題を作成し、その問題への解答論文の作成を提案する。さらに、本対策では既技術士等に添削を受けることで、解答の質を上げられると考える。
 なお、各レベルの課題文{設問(1)より手前の問題文}は、受験生各自で設定してください。

5.1 レベル1

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる){4.1節 参照}として、R01~R05年過去問題の課題文のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」の実現に向け、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考えるものを1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて具体的に示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

5.2 レベル2

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる){4.1節 参照}として、H25~H30年過去問題の課題文のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」の実現に向け、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考えるものを1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて具体的に示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

5.3 レベル3

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、「資源循環及び環境浄化」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを1つ挙げ、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」の実現に向け、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考えるものを1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて具体的に示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

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