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[旧版]問題Ⅰの対策法【船舶・海洋部門】~技術士第二次試験~

 「更新版」をつくります。
 upするまで、この「旧版」を参考になさってください。

 この「旧版」も有益な情報と考えますので、このまま残しておきます。

 以下「旧版」の記事です。


【1】 注意事項

・100点の答えにはなりません
・60点を目指すヒントとして捉えてください
★あくまでも、自力で考えることを忘れないでください。


【2】 問題Ⅰの過去問

 「日本技術士会」HPに公表されていますので、上記リンクより参照してください。

【3】 過去問の傾向

3.1 過去問題の課題文

(※本節は非常に長い文章となりますので3.2節を先に読んでも構いません)

 ここで、本記事において「課題文」を
  ❝ 設問(1)より手前に記載された問題文の文章 ❞ と
  ❝ 設問(1)の一部 ❞ を引用し、
  語尾を「△△△を○○○する」と表現する形式として
  『受験者へ問いかける前提』
 
と位置づける。 

 R01~R05年の問題Ⅰの「課題文」を以下のとおり整理する。

1)R01(2019):Ⅰー1
 我が国の船舶・海洋分野では、他の産業分野と同様に人材の育成・確保が大きな問題となっている。熟練技術者の退職による技術伝承の問題だけでなく、少子高齢化による労働人口の減少により、技術者の確保も難しい環境になってきている。巨大な生産能力を持つ中韓の造船業や先進的な研究開発・建造技術を得意とする欧米との競争、さらに、海洋資源や海洋再生可能エネルギーの開発などへの対応が必要な状況である。
 この様な背景を踏まえ、日本の船舶・海洋分野の持続的発展の為に技術継承と人材育成に関する課題を抽出する。

2)R01(2019):Ⅰー2
 地球環境の保護が国際社会の重要課題となっている。船舶・海洋分野においても、海洋汚染、大気汚染、地球温暖化などに関連した各種取組が進められている。
 船舶・海洋分野の技術者として、「大気汚染に関する『地球環境保護』の具体的な取組」について、課題を抽出する。

3)R02(2020):Ⅰー1
 
我が国の海事産業は世界トップクラスの競争力を有する造船、舶用工業、海運が支えあう世界でも有数の「海事クラスター」を形成している。しかし近年、中韓の造船業の台頭や先進的な研究開発・建造技術を得意とする欧米との競争により、その結束と成長にも陰りが見えてきている。また、新しい技術革新に伴う情報通信技術等の分野への技術基盤のシフト、地球環境問題への対応等、業界を取り巻く状況も大きく変化している。
 このような状況の中、今後、我が国の海事産業が国際環境の中で持続的に発展してゆくために、目指すべき将来像に向けた課題を抽出する。

4)R02(2020):Ⅰー2
 再生可能エネルギーとは 「使っても回復可能な自然エネルギー」で、海洋には風、海流・潮流、波等などの自然エネルギーがある。日本は、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた国土面積は447万km2と世界第6位の広大な面積を占めているので、この広大な海域での再生可能エネルギーを有効に活用することが日本の将来の持続可能な発展に大きく寄与するものと認識されている。海洋特有の種々の問題もあり、現時点では海洋の再生可能エネルギーの開発があまり進んでいない。
 
上記のような状況を踏まえて、 海洋の再生可能エネルギーの開発の課題を抽出する。

5)R03(2021):Ⅰー1
 四方を海に囲まれた我が国にとって、経済面並びに安全保障面から造船業(含む海洋構造物建造) が極めて重要な産業であることは論をまたない。一方、かつて世界一の建造量を誇った我が国の造船業は、中韓の造船業の台頭により、建造量が次位に後退するのみならず、技術や品質面においても追いつかれ追い越されつつあると言える。
 このような状況の中、今後、我が国の造船業が国際環境の中で継続的に発展してゆくた めには国際競争力の向上が不可欠である。そのための課題を抽出する。

6)R02(2021):Ⅰー2
 2015年に国連で採択されたSDGs(17の持続可能な開発目標)の1つの開発目標として「気候変動に具体的な対策を」が掲げられている。この目標に向かって各分野で地球温暖化の原因となる二酸化炭素濃度の上昇を抑制する 「カーボンニュートラル」 という概念が、1つの軸として扱われており、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取組が始まっている。
 この背景を踏まえ、船舶・海洋分野でのカーボンニュートラル社会に向けた取組に関する課題を抽出する。

7)R04(2022):Ⅰー1
 現代の産業や社会はDX(Digital Transformation; デジタル技術とビジネスモデルを用いてプロセスや人・戦略・組織を変化させること)を必要不可欠の取組として推進している。造船業においても、国際競争力を保持し、継続的に発展していくためには、AI/IoT/ICTのデジタル技術を取り入れてDXを推進し、造船業を効率化するとともにDX時代に対応した産業に転換する必要がある。
 このような状況の中、造船業にDXを導入する際の課題を抽出する。

8)R04(2022):Ⅰー2
 四方を海に囲まれた我が国にとって、 経済面並びに安全保障面から海洋開発・利用が極めて重要な産業であることは論をまたない。一方、日本の海洋開発関連産業の現状は極めて限定的である。
 このような状況の中、今後、我が国の海洋産業が国際環境の中で継続的に発展していく際における、積極的な市場開拓・技術開発に関する課題を抽出する。

9)R05(2023):Ⅰー1
 我が国の造船業は、建造設備の拡張等の規模の力を背景とした中国・韓国との国際競争にさらされる中、建造効率を更に向上させて品質・コストの競争力を高める必要がある。一方、建造現場においてはこれまでの船舶建造を支えてきた経験豊富な熟練労働者の高齢化による退職や少子化による後継者不足、これらに起因する下請け及び外国人労働者の増加等により、船舶建造の現場での技術力の低下が進みつつある。また、作業人員計画、工程進捗把握、部材・資材管理の分野でもベテランの退職に伴い従来のような緻密な管理ができないといった問題もでてきている。
 このような状況において、更なる建造効率の向上を達成するには、従来の熟練労働者の技やベテランのノウハウを頼りにするのではなく、建造の各プロセスにおける質を上げることにより、船舶建造の高効率化(ムリ・ムダ・ムラの排除)を行うことが不可欠である。そこで、船舶建造の各プロセスにおいて業務の質を向上させ、高効率化を達成するうえでの課題を抽出する。

10)R05(2023):Ⅰー2
 近年、デジタルツインが注目されている。これは、現実世界の双子のモデルをコンピュータ上の仮想空間に作り、現実世界で得られるデータをコンピュータ上のモデルに反映させ、コンピュータ上でシミュレーションや最適化計算等を行い、その結果を現実世界にフィードバックし、将来予測をすることで、現実世界に存在する非効率を浮き彫りにして、改善することを目的としている。
 このような考えに基づいたデジタルツイン海事産業(自部門が関与する分野等)に導入しようとした場合の課題を抽出する。

3.2 過去問題の「テーマ(課題)」

 過去問題の「テーマ(課題)」は、非常に多岐にわたっている。R01~R05年の問題Ⅰの各テーマを以下に記載する。

1)日本の船舶・海洋分野の「技術継承と人材育成」に関する課題

2)「大気汚染」に関する「地球環境保護」の課題

3)我が国の海事産業が、今後、「国際環境の中で持続的に発展」してゆくために「目指すべき将来像」に向けた課題

4)我が国における広大な「海洋の再生可能エネルギーの開発」に関する課題

5)我が国における造船業の「国際競争力の向上」に関する課題

6)船舶・海洋分野での「カーボンニュートラル社会」に向けた取組に関する課題

7)造船業に「DXを導入」する際の課題

8)我が国の海洋産業が「国際環境」の中で継続的に発展していく際の積極的な「市場開拓・技術開発」に関する課題

9)船舶建造の各プロセスにおいて「業務の質を向上させ、高効率化を達成する」うえでの課題

10)「デジタルツイン」を「海事産業(自部門が関与する分野等)に導入」しようとした場合の課題

3.3 問題Ⅰ「テーマ(課題)」想定のススメ

 過去問題の「テーマ(課題)」の整理は、試験出題当時の社会情勢および船舶・海洋分野に求められる課題の分析に過ぎないと考える。
 このため、R06年以降の問題Ⅰの試験対策は、受験時点の社会情勢および船舶・海洋分野に求められる課題、つまり「テーマ(課題)」を想定し、このテーマに対する設問(1)~(4)の解答作成のトレーニングが有効と考える。

 なお、前節まで過去問題の「テーマ」を整理したが、これは試験出題当時の課題をもとに、解答論文を作成するトレーニングとなり、このトレーニングがR06年以降の解答作成に活きると考える。(つまり、論文作成のトレーニングである)

3.4 問題Ⅰ「テーマ(課題)」想定の参考文献等

 R06以降の「テーマ(課題)」の想定はかなり困難な作業である。
 しかし、この「テーマ」の想定には、以下に示す文献、特に「白書」および船舶・海洋分野の専門雑誌が有効と考える。

 「白書」類は毎年発行されており、概ね第Ⅰ部と第Ⅱ部に内容が分かれており、その中で特に第Ⅰ部がその年の社会情勢を踏まえた課題と位置づけられる。
 また、船舶・海洋分野の専門雑誌は、当分野の最近のトピックスが掲載されており、これが問題Ⅰの「テーマ」のヒントになり得ると考える。ただし、課題の内容によっては第Ⅱ部に記載されていることがあるため、その際は読み込み範囲に注意が必要である。

 以下に、お勧めの「白書」および「専門文献」を記載する。ただし、これらの資料は多量にあるため、私小泉の個人的主観となるが、優先度を決めて記載する。これらの文献の調査にあたっては、受験生個人で優先度を決めて、調査対象を絞っても構わない。

 1)海洋白書
 2)交通安全白書
 3)国土交通白書
 
4)情報通信白書
 5)エネルギー白書
 6)科学技術・イノベーション白書
 7)DX 白書
 8)環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書
 9)少子化社会対策白書
 10)高齢者社会白書
 11)海事総合誌 COMPASS
 12)月刊 海洋

【4】 設問(1)~(4)の傾向・対策

4.1 設問(1)の傾向・対策

 R01年以降、設問(1)~(4)の問題文は、部門により違いがあるものの、おおむね統一されている。また、「船舶・海洋」部門のR01年以降の設問(1)は問題文が年々変化しているものの、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近R05年の問題Ⅰー2の問いかけを参照として、設問(1)の標準問題文を以下のとおり設定する。

★「課題文」に示した内容を踏まえ、技術者としての立場で、多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

 設問(1)では、この問題文がR06年以降の想定問題に引用できると考える。

4.2 設問(2)の傾向・対策

 R01年以降、「船舶・海洋」部門の設問(2)問題文は年々変化しているものの、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近R05年の問題Ⅰー2の問いかけを参照として、設問(2)の標準問題文を以下のとおり設定する。

★前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。また、その課題に対する複数の解決策を、船舶・海洋部門の専門技術用語を交えて示せ。

 R06年以降の設問(2)は、上記の問題文に類似した問いかけで出題されると考える。

4.3 設問(3)の傾向・対策

 R01年以降、「船舶・海洋」部門の設問(3)問題文は年々変化しているものの、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近R05年の問いかけを参照として、設問(3)の標準問題文を以下の2ケースで設定する。

★前問(2)で示した解決策に共通して新たに生ずるリスクとそれに対する対応について述べよ。

★前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項と、それへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。


 R06年以降の設問(3)は、上記の問題文に類似した問いかけで出題されると考える。

4.4 設問(4)の傾向・対策

 R01年以降、「船舶・海洋」部門の設問(4)問題文は、大局的にほぼ共通である。ここでは、直近R05年の問いかけを参照として、設問(4)の標準問題文を以下のとおり設定する。

★前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。

 R06年以降の設問(4)は、上記の問題文に類似した問いかけで出題されると考える。

【5】 問題Ⅰ対策(論文作成)

 「船舶・海洋」部門の問題Ⅰ対策は、前述した内容を踏まえ、以下に示す2つのレベルに対応する想定問題を作成し、その問題への解答論文を作ることを提案する。さらに、本対策は、既技術士等に添削を受けることで、解答の質を上げられると考える。
 なお、各レベルの課題文{設問(1)より手前の問題文 & 設問(1)の一部}は、受験生各自で設定してください。

5.1 レベル1

 「テーマ」として、R01~R05年過去問題の課題文(3.1~3.2節 参照)のいずれかを選択し、以下の(1)~(4)の各設問に解答せよ。なお、(3)についてはa)またはb)のいずれかの問題文に対し解答せよ。

(1)「課題文」に示した内容を踏まえ、技術者としての立場で、多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。また、その課題に対する複数の解決策を、船舶・海洋部門の専門技術用語を交えて示せ。

(3)a)前問(2)で示した解決策に共通して新たに生ずるリスクとそれに対する対応について述べよ。
(3)b)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項と、それへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。

5.2 レベル2

 「テーマ」として、➀各受験生の「船舶・海洋部門に関する経験業務」、②「船舶・海洋部門に関する最近のトピック」、または③3.3~3.4節で述べた「問題Ⅰの想定『テーマ』」、のうち①~③のいずれか1つを選択し、以下の(1)~(4)の各設問に解答せよ。なお、(3)についてはa)またはb)のいずれかの問題文に対し解答せよ。

(1)「課題文」に示した内容を踏まえ、技術者としての立場で、多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。また、その課題に対する複数の解決策を、船舶・海洋部門の専門技術用語を交えて示せ。

(3)a)前問(2)で示した解決策に共通して新たに生ずるリスクとそれに対する対応について述べよ。
(3)b)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項と、それへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。

【6】 解答論文作成のヒント

 解答論文の作成方法は、受験生、既技術士、受験講座の講師によって千差万別であるが、私小泉による個人的なヒントを以下に示す。

 ➀ 問われた事項(設問)の「目次」を作る。
 ② その「目次」に該当する解答案を「箇条書き」する。
 ③ 「目次」と「箇条書き」の内容に齟齬がないかチェックする。
 ④ 1つの目次(設問)の中で、箇条書きの文章をつなげてみる。
 ⑤ 1文は解答用紙2~3行(50~75字以内)以内が理想。
 ⑥ ここまで作成した解答(論文)を、解答用紙に埋めてみる。
 ⑦ できれば、解答用紙3枚目の残り3行目前後まで埋まっているとよい。
 ⑧ 上記⑦まで文章量が足りていなければ、上記②の箇条書きを追加し、
   以下③~⑧を繰り返す。
 ⑧ 全体を読み直し、誤字脱字、読みにくい文章を修正する。

【7】 添削を受け付けております!

 私、小泉は、有料で添削を受け付けております。
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おわり

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