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問題Ⅲの対策法:建設部門「都市及び地方計画」~技術士第二次試験~

技術士第二次試験「選択問題Ⅲ」の対策法について、建設部門の「都市及び地方計画」科目を対象として以下に私見を述べます。

【1】 注意事項

・100点の答えにはなりません
・60点を目指すヒントとして捉えてください
★あくまでも、自力で考えることを忘れないでください。


【2】 問題Ⅲの過去問題

 「日本技術士会」HPに公表されていますので、上記リンクより参照してください。

【3】 過去問題の傾向の整理

3.1 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)

 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)は、非常に多岐にわたっている。H25年~R05年の問題Ⅲの各テーマを以下に記載する。

 このテーマでは、後述3.2~3.4節に示す設問(1)~(3)の標準問題文に解答できるように、過去問題文を変更した。

 なお、R01年の試験制度改正前後で各問題のテーマの整理を区分する。

 3.1.1 H25~H30年(試験制度改正前)

1)H25(2013):Ⅲ-1
 
東南海・南海地震など、全国で大きな地震の発生が想定されているが、中央防災会議においては、地震・津波に強いまちづくりの方向性が打ち出され、津波防災地域づくりに関する法律も制定されている。
 これらを踏まえて、必要な海岸保全施設等が整備されることを前提に、都市部において、津波による被害に関するまちづくり上の対応策を、都市及び地方計画の技術士として検討する。

2)H25(2013):Ⅲ-2
 
人口20万人程度の地方都市において、「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づく低炭素まちづくり計画を策定する。
 設問(1)では、具体的な都市を想定した上で、標準問題文に対し解答せよ。

3)H26(2014):Ⅲ-1
 本格的な人口減少・少子高齢化が顕在化しつつある地方都市における都市の再構築に関し、持続可能な都市経営を確保する。

4)H26(2014):Ⅲ-2
 津波により相当数の住宅、公共施設等が滅失した市街地において、あなたが担当責任者として住宅再建を含めた市町村の復興まちづくりに係る事業に取り組む。なお、解答に当たっては、東日本大震災の津波により被災した市街地と同じ制度が適用されること、比較的頻度の高い一定程度の津波を想定した海岸保全施設等の計画・整備が別に進められていることを前提とする。

5)H27(2015):Ⅲ-1
 
人口減少・高齢化が進む地方都市において、社会経済状況の変化に対応するとともに、持続可能な都市経営の実現を図るため、あなたが担当責任者として、当該都市全体としての都市施設の整備に関する事業又は市街地の整備に関する事業の見直しを検討する。

6)H27(2015):Ⅲ-2
 
人口減少・高齢化が進む地方都市において、あなたが担当責任者の立場で都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画の策定を行う。

7)H28(2016):Ⅲ-1
 
健康寿命の延伸が課題となっている地方都市において、あなたが都市計画・まちづ くりの担当責任者の立場で、関係部局と連携のもと立地適正化計画を作成し、都市のコン パクト化に取り組む。

8)H28(2016):Ⅲ-2
 
近年、空き家の増加により、都市において様々な課題が顕在化しつつあり、空き家対策を行っていくことが求められている。人口減少が進む地方都市で、あなたが担当責任者として総合的な空き家対策を検討する。

9)H29(2017):Ⅲ-1
 
人口減少と高齢化の進む地方都市において、コンパクトなまちづくりを進めるため、立地適正化計画を策定することになった。当該地方都市は、鉄道・バス等の公共交通は整備されているものの、車への依存度が高く、また、近年合併したことから、類似・重複した公共施設を多く保有している。
 これらの状況を踏まえ、あなたが担当責任者として立地適正化計画を策定する。

10)H29(2017):Ⅲ-2
 
緑とオープンスペースの確保が課題となっている三大都市圏の都市において、あなたが都市計画・まちづくりの担当責任者として、市街化区域内農地の保全及び活用に取り組む。

11)H30(2018):Ⅲ-1
 空き地・空き家等の低未利用地が時間的・空間的にランダムに発生する「都市のス ポンジ化」が進行している都市において、あなたが担当責任者として立地適正化計画を策定し、コンパクトシティの推進を図る。

12)H30(2018):Ⅲ-2
 
大規模な市街地火災が発生した人口減少・少子高齢化の進む人口数万人の地方都市において、あなたが都市計画・まちづくりの担当責任者として、被災地の復興まちづくり計画を策定する。

 3.1.2 R01~R05年:(試験制度改正後)

1)R01(2019):Ⅲ-1
 我が国では人口減少社会を迎える中で、空き地・空き家等の低未利用地が時間的・ 空間的にランダムに発生する「都市のスポンジ化」と呼ばれる状況が顕在化しつつある。
 こうした状況を踏まえ、地区レベルで都市のスポンジ化対策としてのまちづくりを行っていく。

2)R01(2019):Ⅲ-2
 鉄軌道を含む公共交通の分担率が一定程度ある地方の都市圏において、都市圈全体を俯瞰する視点から、人口減少・少子高齢化を踏まえた都市の持続的経営を目的として都市構造の再編を進めることとなった。あなたがその計画策定を担当責任者として進める。なお、都市構造の再編を進めるに当たっては、公共交通が都市の形成に影響を及ぼすこ とに着目し、公共交通の利用を前提とするものとする。

3)R02(2020):Ⅲ-1
 近年、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組である「グリーンインフラ」が求められている。グリーンインフラは、様々な状況に応じた統合的解決にアプローチする手法として有効であり、まちづくりの様々な場面で活用することが想定される。
 上記のグリーンインフラを活用しうる場面を挙げて、まちづくりを行う。

4)R02(2020):Ⅲ-2
 少子高齢化の進展などによる財政的制約から、都市基盤施設の整備に必要な予算を十分確保することが困難となっている地方都市の中心市街地で、居住人口の減少などに伴い、空閑地や空き家が発生している。
 当該中心市街地の魅力を高めるため、地区内の土地所有者や中小の商店の経営者などにより構成されるコミュニティ組織が当該地方公共団体と連携しながら、空閑地などを活用して広場や歩行空間を短期間に整備し、 管理運営する事業を進める。

5)R03(2021):Ⅲ-1
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、 3つの密 ( 密閉、密集、密接 ) の回避、不要不急の外出自粛、テレワークの推奨等の 「新しい生活様式」の実践が求められている。この「新しい生活様式」の実践は、都市における過密という課題を改めて顕在化するとともに、日常生活のみならず、経済・社会全体のあり方や人々の行動様式・意識の変化、デジタル化の進展等多方面に影響を与え、都市に様々な変化をもたらしたと考えられる。
 こうした状況を踏まえ、今後の都市政策を検討する。
 なお、設問(1)では、その標準問題文をは次の問題文に置き換えて解答せよ。
 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、コロナ危機を契機として生じた変化や改めて顕在化した課題を、技術者としての立場で3つの異なる観点から抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その生じた変化や顕在化した課題の具体的な内容を示せ。

6)R03(2021):Ⅲ-2
 ある地方都市において、民間企業が所有できなくなった建築物と庭園が一体とな った歴史的資産を、市が取得のうえ必要な整備を行い、地域活性化に寄与するよう観光資源として活用する事業を行おうとしている。建築物は文化財としての価値を有する邸宅であり、内部を公開することとしているが、公開には改修が必要である。歴史的資産の管理運営に当たっては、都市公園として、入園料を徴収し指定管理者制度を導入するほか、民間事業者からの提案に基づき建築物を活用した収益事業の導入を検討することとしている。
 これらの状況を踏まえた収益事業を進める。

7)R04(2022):Ⅲ-1
 中核市などの地方都市においては、コンパクト・プラス・ネットワークの実現に向け、多様な関係者が連携し、まちの中心となる駅まち空間 ( 駅・駅前広場と周辺街区 ) を魅力ある空間として再構築を行うことが求められている。
 このような状況を踏まえ、地方都市における駅まち空間の再構築を進める。

8)R04(2022):Ⅲ-2
 高度成長期に大都市郊外に計画的に開発された分譲マンションを主とする大規模住宅団地では、開発から長期間が経過して様々な課題が顕在化しつつあり、居住者のニーズ も踏まえつつ、持続可能な住宅団地として再生することが求められている。
 このような状況を踏まえ、開発から長期間が経過した大規模住宅団地を持続可能な住宅団地として再生させる。

9)R05(2023):Ⅲ-1
 平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、市町村による空家等対策計画の策定や著しく保安上危険、衛生上有害等の状態にある等のいわゆる特定空家等の除却等の取組はより優先度の高い取組として進展しているが、全国の居住目的のない空き家は今後も増加が見込まれており、空き家対策のさらなる充実・強化が必要となっている。有効活用されず適正な管理が行われていない空き家は周辺の環境に悪影響を与え、地域の価値や機能を低下させるおそれもあるため、地域の維持・活性化等を図るうえでも空き家対策はますます重要となっている。
 このような状況を考慮して、人口が減少傾向にあり今後も空き家の増加が見込まれる地方都市の中心市街地において、空き家対策をさらに充実・強化する。

10)R05(2023):Ⅲ-2
 豪雨による河川氾濫で浸水被害を近年経験し、ゼロカーボンシティ宣言を行い、市民参画で地球温暖化対策を本格展開しようとする大都市近郊の都市がある。この都市において、地球温暖化対策推進の観点から、都市緑地法に基づく緑の基本計画を改定することとなった。
 緑の基本計画において、 “カーボンニュートラル及びWell-beingを実現する都市” を目標とする都市像として掲げ、その達成に向け、取り組むべき課題を整理することとした。
 これらの条件より、地球温暖化対策として都市の緑が果たしうる役割を踏まえ、緑の基本計画を改定する。

 3.1.3 「テーマ」設定の有効性

 これらの「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を参考に、「都市及び地方計画」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを抽出することが、R06年以降の想定問題作成に有効と考える。

3.2 設問(1)の傾向・対策 ~標準問題文の設定~

 R01年以降、設問(1)~(3)の問題文は、部門・科目により違いがあるものの、おおむね統一されている。「都市及び地方計画」科目のR01年以降の設問(1)では、年度及び問題番号によって多少異なるものの、以下の問題文がベースであると考える。

★「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、技術者としての立場で多面的な観点から取り組むべき課題を3つ抽出し、 それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

 R06年以降の設問(1)は、上記問題文をベースとして出題されると考え、後述4節の標準問題文として設定する。

3.3 設問(2)の傾向・対策 ~標準問題文の設定~

 R01以降、「都市及び地方計画」科目の設問(2)は、年度及び問題番号によって多少異なるものの、以下の問題文でほぼ共通である。

★前問(1) で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて示せ。

 R06年以降の設問(2)は、上記問題文をベースとして出題されると考え、後述4節の標準問題文として設定する。

3.4 設問(3)の傾向・対策 ~標準問題文の設定~

 R01以降、「都市及び地方計画」科目の設問(3)は、年度及び問題番号によって多少異なるものの、問題文は以下の3ケースに大別される。

★前問(2)で示したすべての解決策を実施しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

★前問(2)で示したすべての解決策を実施して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

★前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

 R06年以降の設問(3)は、上記3ケースの問題文をベースとして出題されると考え、後述5節の標準問題文として設定する。

【4】 問題Ⅲ対策

 「都市及び地方計画」科目の問題Ⅲ対策として、前述した内容を踏まえ、以下に示す3つのレベルに対応する想定問題を作成し、その問題への解答論文の作成を提案する。さらに、本対策では既技術士等に添削を受けることで、解答の質を上げられると考える。
 なお、各レベルの課題文{設問(1)より手前の問題文}は、受験生各自で設定してください。

4.1 レベル1

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、R01~R05年過去問題の課題文{3.1.2節 参照}のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。なお、設問(3)ではa)~c)のうち1つを選択して解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、技術者としての立場で多面的な観点から取り組むべき課題を3つ抽出し、 それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1) で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて示せ。

(3)a)前問(2)で示したすべての解決策を実施しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(3)b)前問(2)で示したすべての解決策を実施して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(3)c)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

4.2 レベル2

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、H25~H30年過去問題の課題文{3.1.1節 参照}のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。なお、設問(3)ではa)~c)のうち1つを選択して解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、技術者としての立場で多面的な観点から取り組むべき課題を3つ抽出し、 それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1) で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて示せ。

(3)a)前問(2)で示したすべての解決策を実施しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(3)b)前問(2)で示したすべての解決策を実施して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(3)c)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

4.3 レベル3

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、「都市及び地方計画」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを1つ挙げ、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。なお、設問(3)ではa)~c)のうち1つを選択して解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、技術者としての立場で多面的な観点から取り組むべき課題を3つ抽出し、 それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1) で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、専門用語を交えて示せ。

(3)a)前問(2)で示したすべての解決策を実施しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(3)b)前問(2)で示したすべての解決策を実施して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(3)c)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がってくる将来的な懸念事項とそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

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