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鳥が好き

最近とても鳥が好きだ。
形や顔が可愛く思えて、なんだかとても好きだ。
大抵お腹が丸いところや、愛嬌のある目、二本足、くちばし、豊かな羽の色や柄のバリエーション、概ね賢い生き物であるところなども心惹かれるポイントである。

最近まで特に鳥に興味をもったことはなかった。
ペンギンは小さい頃から今までに何度かブームがきていて現在形で大好きだが、鳥全般にまで関心を持つことはなかったように思う。

しかし、鳥の重要な要素である「飛ぶ」能力についてはどうも興味がもてない。むしろ飛べないタイプの鳥の方が好きな傾向にある。(ペンギンはもちろん、ダチョウやエミュー、キウイやカカポなども非常に好き)

飛ぶ、ことについて興味が無いのは昔からだ。
父は息子に名前をつける時「翔」の文字を使った。飛行機のエンジニアを目指した過去を持つ父は空を飛びたい人間だったからだ。なんらかの熱い想いを込めて名を与えられているのだから興味を持っても良さそうなものだったのだが、当の本人は空を飛びたいとは全く思わず今まで生きてきてしまい、むしろオートバイにばかり執心している残念な息子である。(そして人間としても底辺を這いまわっているから一層申し訳ない)

鳥。繊細な生き物で故に頭も良く明るい性格である種類が多いという。
他の動物と比べ、体格の割に意外と長生きする個体も多い。
一夫一妻制をもつ種も多く、その場合基本的には死別するまでパートナーを変えることがないことや、その中での下世話な争い(浮気、悪女、間男、寝取り、三角関係などなど)もあるらしいところもなんだか人間のようで好感しかない。
ストレス耐性が低いためすぐハゲる。なんだそれは。かわいい。
音に対する反応と感受性が良く踊ったり歌ったりするものもいる。とにかくかわいい。
ペンギンに関しては配色がスーツを着た腹の出ている中年サラリーマンのようでもあり、群れて皆で並び肩をすくめ鈍重に歩く姿も相まって非常に可愛らしく思う。

ほかにも愛でることのできる要素は多々あれど、やはりはあのシェイプが好きなのかもしれない。
嘴と腹の曲線が絶妙な大らかさで平和そうな膨らみであるところなどはとりわけ気持ちのいい作りだし、取って付けたおまけのような貧相な二本の足で突っ立っている姿を見ているだけで目が潤む。

大学に入る際、彫刻科というところの入試課題には水粘土での塑像があったこともあり、高校3年から一浪が終わるまでの二年間にかなりの数の鳥を制作したこともあるからか、鳥の造形には殊更反応してしまうのかもしれない。

少し前に病気のため入院していた時、することがなさ過ぎて埼玉県のゆるキャラである「コバトン」を毎日模写していた。県立病院だったので、掲示物や配布物に遍く様々なポーズのコバトンがプリントされており当時の飽きることのないモチーフだった。
彼もまた特徴的な嘴の形とボディをしている。そして、みんなだいすき!とでも言うようなまんまるな目。
つらい時に寄り添ってくれた彼を思い慕う気持ちが今の鳥への愛着にいつの間にか変わっていたのかもしれない。


いつか鳥を飼いたいと思っている。しかしながら我が家には猫がいるから、きっと鳥にとっても猫にとっても鉢合わせてしまったらいろいろと不幸に違いないと思い先住猫を尊重してまだ迎えてはいない。
なので、池袋の「こんぱまる」という鳥専門ペットショップに度々足を運んでは募る気持ちを宥めている。



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