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「双極症」診断の難しさ…

こちらのアカウントでは久々の投稿になります。
カバー写真は「xxchiavexx」さんのフリー画像、「note」にご提供頂いているものから拝借しました。精神科(心療内科)にて、ご本人が処方されている「お薬」の画像データかと思われます。ご提供に、この場で御礼申し上げます。

さて、今回は「双極性障害研究ネットワークニュースレター Vol.146 2024年1月23日」という、メーリングリストにて配信された、順天堂医大にて精神科勤務の加藤忠史先生からの、最新の治験に関する報告(レポート)に関するご案内です。

以下、引用させて頂きます。

双極性障害の患者さんの中には、治療してもなかなかよくならないとおっしゃる方が少なくありませんが、それがどのような理由によるものかは、よくわかっていませんでした。
順天堂大学では、「双極性障害治療立て直しプログラム」を実施しています。なかなか治療がうまくいかないとおっしゃる双極性障害患者さんに2週間入院していただき、詳細な検査を行うものです。この論文では、プログラム開始後1年半の間に入院された患者さん43名について、結果を報告しています

双極性障害研究ネットワークニュースレター Vol.146 2024年1月23日より

43名の患者に関する「治療抵抗性」に関する結果報告です。

それを一読して、小生は「愕然」としました。なので、今回「note」の記事にしています。続きを引用させて頂きます。

入院して全ての検査を終了した患者さんのうち、10名は、構造化面接の結果では、双極性障害とは診断されませんでした。3名の方は、脳の器質的疾患を有していました。12名(重複を除くと11名)の方は、他の精神障害を併存しており、その症状が、なかなか良くならない双極性障害の症状とみなされているケースでした。
ガイドラインに従った治療が行われていなかったケースも18名いらっしゃり、うち11名は、患者さんご自身が病気を受け入れていないことが不十分な治療につながっていると思われるケースでした。
明確な要因なく、治療抵抗性の双極性障害とみなされる方は、1名でした。

双極性障害研究ネットワークニュースレター Vol.146 2024年1月23日より

・脳の器質性疾患
・他の精神障害を併存している
治療抵抗性の双極性障害とみなされる方は、1名

つまりは、知見を行った43名のうち、治療抵抗性の双極性障害とみなされる方は、たったの1名しか、いらっしゃらなかった…という検査結果に注目です。

それ以外の42名は、双極性障害ではなく、異なる原因(脳の器質性疾患、他の精神障害)であった…ということです。

いかに「双極性障害」と診断を受けている患者に「誤診」が多いか?という、現状の精神科医療における汚点、その「現れ」でもあります。

たしかに「双極性障害Ⅱ型」など、その主訴が、ほぼ単極性の「うつ病」と類似しているような症例も多いでしょうから、「双極性障害」の患者であることを「見抜く(診断名を下す)」のが、如何に難しいか?もあると思われますが、今回のケースは「治療抵抗性」に関する調査だったので、かなりの割合で、統合失調症の患者さんが双極性障害と誤診されているケースが多いのではないか?を、疑わせる結果のようにも思われます。

今回の結果から、双極性障害がなかなかよくならないと感じていらっしゃる患者さんのほとんどは、適切な治療を行っても治らないような治療抵抗性の双極性障害を持っているというよりも、診断に疑義があったり、他の要因があったり、最適な治療を受けていないといった理由によって、治らないと感じているという可能性が示唆されました。

双極性障害研究ネットワークニュースレター Vol.146 2024年1月23日より

今回の結果は、双極性障害に関する啓発の難しさ、双極性障害患者さんに適切な診断・治療を提供することの重要性を明らかにしたといえます。

双極性障害研究ネットワークニュースレター Vol.146 2024年1月23日より

さて…43名中、双極性障害の患者は、たったの1名だったという、今回の知見、日本の双極症(双極性障害)の権威である、順天堂医大の加藤忠史ドクターからの指摘だけに、重く受け止めざるを得ないと思います。

それだけ、巷(ちまた)には「双極症」と診断されながら、実際には、別の疾患である方が多い…ということです。

医療の現場、その現実は、如何に、本来の「双極症」患者を、他疾病から、正しく分類、治療してゆくか…「双極症」の診断、その難しさを示すレポートでした。

なので、必要を感じて、情報をシェアさせて頂きました。

今回は、以上です。

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