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29歳独身女 届きそうで届かない恋の話

29歳独身女だって恋をしている。

彼を好きになってから3年目。


その日は休日。

大好きな彼と仕事の連絡をとっていると。

なんの前触れもなく急に

彼:「焼肉行きたい」

私:「行きましょう」

彼:「俺は行くけど、くる?」

私:「焼肉食べに行きます。何時にどこへ?」

彼:「今から〇〇へ」

私:「かしこ」


という流れで、

大好きな先輩と

2人で焼肉に行くことになりました。


実はその日はお互いに見たいテレビがあり、

条件はテレビのある焼肉屋さん。

少し歩いたら見つかったので、

ワクワクしながらテレビの前の

特等席へ。

お酒を注文し焼肉を食べていても、

見たい番組が始まらず、

蔓延防止条例のため、お店は20時閉店。

見たい番組は20時からでした。

お店は先輩の家の近くで

探したということもあり、

もしかしたら一緒に見れるかな?

と淡い期待を胸に、先輩と歩いてると、

着いたのは駐車場。

そういえば先輩の車の荷台に

私は自転車を乗せていた。

車から自転車を下ろすと、

何故か先輩が自転車に乗って遊び始めた。

私は少し飲みすぎたので、

運転席で休憩していると、

早く帰れよ。

と先輩。

車から外へ出ると、何故か

またねー!

と歩いて帰られ、追いかける。

なぜかダッシュし始めたので追いかける。

完全に巻かれる。

駐車場に戻り、

私先輩のことめっちゃ好きなのに

全然気持ちが届かないやと

暗闇の中一人で泣く29歳独身女。

フレンズのNIGHT TOWNの歌詞が沁みる。

東京の夜。

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先輩とは昔こんな会話をした。

彼:「クロノスタシスって知ってる?」

私:「知らないです。」

彼:「時計の針が止まって見える

   現象のことだよ」


これ、きのこ帝国のクロノスタシスという

ナンバーの歌詞だったのだ。

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そんなことも知らずに、

当時何も知らなかった私は

クロノスタシスをググって、

へーっと思ってた。

しばらく経ってから、先輩の

スピーカーからクロノスタシスが

聞こえてきて、私はハッとする。

そのことを誰かに話すと、

「それは月が綺麗ですねと同じ意味だよ」

といわれ、一人舞い上がっていた。

浮かれていた。

気がないのであれば、

食事にだって誘わなくていいのに。

私の気持ちを知ってて、

私を振り回す先輩なんて大嫌いで大好きだ。

ちょっとでも何かを期待した

私が馬鹿だった。

いっそのこと早くほんとに

嫌いになりたいのに、

恋愛ってそんな簡単なものじゃない。







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