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🟢白秋の恋を歌ってみる:短歌


さくさくと林檎を噛めば澄む音の弦響かせてをみなといふは

こわれそうな月の光に触れようとしているようなためらい  君は



ちょっと僕らしくもなくロマンチック。女性をこんなふうに歌うのは気恥ずかしいが、この歌は北原白秋の次の歌を引き歌に、白秋の気持ちをイメージしてみたもの。

君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ(北原白秋)

言葉の魔術師と言われる白秋。
この歌も身体の五感に響いてくるいい歌だが、実は危険な背景を持っていて(簡潔に言ってしまえば不倫ということなのだが)Wikipediaには次のように書かれている。

1912年(明治45年 / 大正元年)(中略)白秋は隣家に住んでいた松下俊子と恋に落ちたが、俊子は夫と別居中の人妻だった。2人は夫から姦通罪により告訴され、未決監に拘置された。弟らの尽力により2週間後に釈放され、後に和解が成立して告訴は取り下げられたが、人気詩人白秋の名声は不祥事によって地に堕ちた。

Wikipediaより一部抜粋


白秋を歌うなど全くもって烏滸がましいのだが、もう三首作ってみた。

雪ほそく雪のつめたく降る朝を白秋の背とすれ違ひたる

きぬぎぬの白秋の背に降る雪のさんさんと人恋するこころ

君を抱けばかすかに川のせせらぎのさらさらと夜を君と流るる



白秋がどうだったかは知らない。

でも、「美しさ」は多く「禁忌」と隣り合わせにあると言えるかもしれない。


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