見出し画像

第212話🟡(詩):18歳の僕がいた風景

人いきれのする駅の通路
流れゆく人混みにけおされながら
突然 わけもなく
叫びたくなったことはないか

凡俗であることが許せず
見栄と欲に汚れた会話から
おのれの小さな魂を
守ってみたいと思ったことはないか

そしておのれの卑小な感性に
無性に腹立たしくなったことは
ないか
 - なかったか

僕らは忘れてはならない
僕らが僕ら自身であろうとした
その憂鬱を

人と睦むよりは
独りうつむいて歩むことを選び
自分の靴の重たさを
自分のすべてと感じいた
そのことを

嫌悪と憎悪と反逆と
僕らが独りであるために
僕らは生まれてきたのであるから


■土竜のひとりごと:第212話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?