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第215話:定年退職

2021年3月、これは単なる個人的な日記です。

今日、学校では離任式があり、基本的には本日をもって定年退職ということになりました。永年勤続ということで表彰状ももらいました。記念品はボールペン一本でした(笑)。

38年働いたか・・みたいに改めて思ってみましたが、振り返れば、あっという間の出来事であったような気もします。

学校は4月から翌年3月までの年度単位の動きをしているので、勤務した最後の1年は2020年度だったということになりますが、2020年1月に国内でコロナが確認されて以来、コロナの猛威の中で、4月早々からの休校、インターハイも中止、東京オリンピックも1年延期されるなど、異常な一年でもありました。(後日談になりますが、1年延期されたオリンピックも無観客ということで訳のわからないことになりました。)
離任式も当然のことながら、卒業生もシャットアウト、夜の宴会もなくなり、ちょっと寂しい感じもしました。

また、2013年から年金支給年齢が段階的に引き上げられ、また数年後から定年延長が段階的に始まっていくという過渡期にあって、定年で退職を迎えるけれど年金は支給されず、この退職はしたがって5年間収入なしという微妙な期間へ突入することを意味してもいます。これも寂しいことです。

それで、来年度も再任用のフルタイムという形で、同じ学校で今日までと変わらない日々がまた明日から始まることになります。
給料はこれまでの6〜7割だそうです。経済的なこともそうですが、何より「定年まで」と思って頑張ってきたので、ゴール直前にまで来たらゴールテープがスーッと向こうに移動してしまった感じと言えばいいでしょうか。これを「働ける幸せ」と受け取ればいいのか否か、少しく微妙な思いがあったりします。

定年退職・・第二の人生のスタート!パチパチ👏といった感じでもありません。


わけても、60歳を迎え、身体的にもボロボロ、脳みそはスカスカ。

夜の送別の宴ができないため職場の人たちが昼食会を開いてくれたのですが、こんなにリッチなお弁当が用意されたのに、そのことを忘れ、家からお弁当を持ってきてしまったため、家に持ち帰って家族と分けて食べました。

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しかも、持ってきた自分のお弁当も食べ忘れて持ち帰ってしまいました。
もう、だめかもしれません。


ついでながら、国語科のメンバーが、「養命酒」をどんなものだか一度飲んでみたいと僕が呟いたのが耳に入ったらしく、ちょっと前に退職の餞別にと、何と三本も贈ってくれました。

ちびちびと飲む餞別の養命酒

決して美味くはないのですが、それでも大事に、ちびちびと飲んでいます。
でも時々、カップについだまま飲み忘れてしまいます。

ついだまま飲み忘れたる養命酒

何かをしようとして動くたびに自分のしようとしたことを忘れてしまう・・、
そのうち「自分」も忘れてしまいそうです。

よっこいしょ 俺は はて なんだったんだかな


我が家の玄関の前のアスファルトの割れ目から顔を出してタンポポが咲いていました。
退職は区切りではありますが、明日も朝から部活指導。こんなふうに小さくも健気に、明日からまた生徒たちと時を重ねていきたいと思います。

ちひさく生きる覚悟も大事でありまして 空を見上げてゐるたんぽぽ


生徒から、同僚から、たくさんの花束とたくさんの言葉をいただきました。
感謝です。


■土竜のひとりごと:第215話


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