女子という言葉
最近テレビなどで結構いい大人が「女子」という言葉を使っているのを耳にすることが多く、気になる。
僕のイメージの中の「女子」は、例えば学校で使われる言葉で、対象としても、その年代の女の子を指すという漠然とした感じ。
ただ、例えば『日本国語大辞典』を引いてみると、
①おんなのこ。むすめ。にょし。
②おんな。婦人。婦女。女性。
とあって、確かに「女の子」だけの意味ではないことが分かる。
そう思ってみると、例えば、女子トイレ、女子更衣室、女子バレー、女子ゴルファー、女子アナウンサー、女子大生など年齢差を問題にしていない「女子」の使われ方も、確かに一般的。
しかし、昨今の「私たち女子は~」などと、結構な年齢の女性が使っているのを聞くときの確実な違和感は、この使われ方が、今までになかった新しい使われであることを示している。
何故この種の「女子」という言葉が使われ始めたのか?分からないが、仮説を立ててみた。
①「女子会」という言葉に先導された。
「女子会」はWikipediaによれば(一部抜粋)
もともとの火付け役となったのは、モンテローザが展開する居酒屋チェーン「笑笑」の「わらわら女子会」という女性専用プランメニュー。モンテローザの成功を見て、飲食産業各社が参入し次々と広まっていった。テレビ番組や雑誌などのマスメディアで取り上げられるようになったのは2008年頃とみられている。2010年には新語・流行語大賞のトップテンを受賞。
と書かれており、時期的に「女子」という言い方が出てきたのも、これ以降のことではないかと思われる。
「女子会」という言葉が流行したことによって、「女子」という言葉に新しい意味が付加され、それが定着して行った・・。
②自由で健全な語感
「女子会」には、あるいはこの種の使われ方をする「女子」には「自由な」という響きがある。
「女性」という社会的なフォーマルなニュアンスでもなく、「女」というどこか性を感じさせる響きとも違い、また「婦人」という夫や家庭に従属している立場の語感でもない・・。
そういう何かにとらわれない立場を探していた女性に、この言い方は受け入れられたのかもしれない。ちょっと自分の女という箍(たが)を外してみたい、しかも健康的で健全に・・という気持ち。
以上、何の根拠もない全くのあてずっぽう。悪しからずご了解を。
と、以前に当てずっぽうな上記のような仮説を書いたところ、
「男子」ブームを受けての「女子」では?
というご意見をいただいたことがあった。
たとえば、「草食系男子」・・おとなしい男子。
たとえば、「弁当男子」・・自分で弁当を作る男子。
確かに一理あるが、この「男子」はやはり若い世代を指していて、最近使われている「女子」という言葉の年代層の対となるかは微妙な感じがする。
ただ確かに、「女子」の前に「男子」があったと言えるかもしれない。
おもしろいと思ったのは、「草食系男子」「弁当男子」とも、それがはっきり表れてくるのは2008年(平成20年)頃であることだ。「女子会」ということばも2008年頃に出てきている。『花より男子』はもう少し古いが、井上真央、松本潤、小栗旬で話題になったTVドラマは2005年~。
「ブラ男」・・ブラジャーをつける男は以前からいただろうが、『ブラジャーをする男たちとしない女』という本が出たのが、2005年。楽天が男性用に独自に製作されたメンズブラを販売したのが2008年だそうだ。
2000年に入って間もないころから、それまで胎動していた「男」と「女」という価値観の大きな変化が一気に噴き出してきたと考えてみるのはおもしろいのかもしれない。
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