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土竜のひとりごと:カミさんに遺す僕の物語

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これまでに書き溜めたもの、このnoteの「土竜のひとりごと」に書いたものを2000字程度の文章に整理してここに集めてみたいと思います。
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#エッセイ

第60話:愛と恋と

古典では恋しい男女が互いを思い合うと、肉体を離れた魂同士が夢の中で会えると考えられていた…

22

第78話:ある船乗りの夢

パチンコにたまに出掛ける。 しかし勝つことは稀で、大概は負けて帰る。今のパチンコはそれこ…

18

第77話:あがる

人間は誰しも「あがる」ものである。 結婚式のスピーチで「おめでとう」と挨拶をしたはいいが…

29

第76話:呼ぶことと呼ばれること

くだらぬ話だが、僕は結婚当初、カミさんのことを何と呼べば良いのかさんざんに迷った。それま…

10

第75話:うまい話

独身の頃、自分で言うのも何だが僕はよくモテた。 と言ってもそれは僕の容姿や性格が女性に歓…

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第74話:タクシードライバー

人の情けが身にしみるということがある。 例えば、こんなことがあった。 清水に住んでいた時…

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第73話:精神安定剤

30代の前半のことだった。学校祭が終わった翌日の代休に久しぶりに家族で外出し子供と小高い丘に上ろうとしたのだが、暫く登った所でふと胸が息苦しくなってその場に座り込んでしまった。 呼吸ができないのではないが息苦しくて動けない。そんなことは初めての経験で、何だろうと思いつつも、一晩ゆっくり休んで翌日は出勤して授業もしたのだが、その症状がそれ以来頻繁に起こり、授業中息苦しくなって視界が真っ白になり保健室に担ぎ込まれたり、何とか学校まで来てもどうしようもなくふらついてカミさんに迎え

第72話:禁煙

煙草を吸い始めたのは21歳の時だから、煙草との付き合いは長い。 日にコンスタントに一箱を吸…

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第71話:ぬいぐるみ

[子育ての記録と記憶] ■3歳8カ月を迎えている亮太は毎日が楽しくなければ許せないらしく…

29

第70話:夫婦という「空気感」

随分昔の話であるが、僕らが結婚した当初、僕らにはテレビがなかった。正確に言うとテレビはあ…

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第69話:暇つぶし

子供のころ、暇があるとよく猫をつかまえて、そのノミをつぶして過ごした。猫をひっくり返して…

空を飛ぶ土竜
11か月前
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第67話:ニフニフ努力する

ここのところずっと3年生の担当ばかりで、生徒との付き合いはとても短く、毎年のこと、特に4…

空を飛ぶ土竜
2週間前
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第66話:結婚式スピーチ

もう「今は昔」のこと、僕らは三島大社の神殿で結婚式を挙げた。外から丸見えなので人がゴソゴ…

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第64話:ドラえもん

随分昔のことになるが、ゴロゴロしている僕の顔の上にカミさんが突然ヌーッと顔を出し、 「ねえ、ドラえもんの耳ってなぜないか知ってる?」 と聞いてきた。 そんなことを聞かれてもドラえもんに耳がないことすら気づいていない僕に答えられようはない。 「はあ?」と首をひねると、 端から僕に答えられるとは思っていないのだろう、 「あのね、ドラえもんは昼寝していたらねずみに耳をかじられちゃったの。だからねずみが怖いの」と得々として説明してくれた。 「そんなことを知らんでも良い」と思ってい