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青が好きなのに

朝晩は随分と涼しくなった。今日もまた蝉の声が鳴り響く。青梅街道を走る車の音。私の部屋は9階にある。道を歩いている時には気にならない車の音が、時に地響きを伴うような音量で私の心を掻き毟る。心はユラユラユラユラ揺れる。右に左に揺れる。ふと思う。心と精神。ん、魂もある。

心、精神、魂 あなたたちは仲良しなの。どんなふうに私の中で動いたり、立ち止まったり、眠ったり、エネルギーをくれたりしているの。そんなことがちゃんとわかれば人の心は壊れないのかしら。私は遠くを走る電車に問いかける。

目の前の視界は広く、私は動くものを探す。多くは低層住宅で遠くに、とても遠くにポツリポツリと巨大なビルが建つ。動くものを探す。ずっと探してみる。電車、私は青い色が好きなのに、電車は青くない。青くペンキを塗った電車があるとする。でもきっとそれは青くない。私の青ではない。

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