私の中の龍 #6
【龍の成長2】
以前から神聖な場所は好きだったけれど、わざわざそういった場所へ行く習慣はなかった。
ヘリオセントリック占星術に出会って、自分がそういった場所が好きだと自覚してから、寺社仏閣巡りが趣味のようになった。
「弧龍」に出会ってからは、彼も一緒に行くようになった。常に一緒にいるというか、いつでもこちらが呼べば側に来てくれる。そんな感じだった。
「熱田さん」へ行く時は特に、張り切っている感じだった。地下鉄の中でもじっとしておらず、近づくにつれてテンションが上がっていくのが、なんとなく感じられた。鳥居を目の前にしたらもう「行ってもいい? 」と何度も聞いてくるので、「ちゃんと鳥居をくぐってからね」と勝手にピュンと行ってしまわないように言いきかせた。龍のことはよくわからないので、とりあえず扱い方は犬と同じだ。ちゃんとドッグランの中に入るまで、リードをしっかりと握りしめ、離さないように。
本当に、神社は龍にとってのドッグランのようだ。広くて気の良い神社ほど自由に嬉しそうに飛び回っている。弧龍はいつも勝手にピュッと行ってしまうので、ずっと見ているわけではないけれど、時々私たちの横を通って行くことがあるので、その楽しそうな感じが伝わってくる。
見た目がすっかりおじさんになったけれど、それからも彼の成長は続いていた。
ある時から声をかけると、なんだか中身の無い抜け殻のような弧龍の姿があって、後ろにぼんやりもう一匹いるような、いないような、そんな感じが続いた。
「なんか本物っぽくないね」
「あなたは誰? 」
「もしかして、弟子でもとった?この子はお弟子さん? 」と訊いても、龍のはりぼてがゆらゆらと揺れているだけのようだった。
弧龍は一体どうしちゃったのだろう?
続く……
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