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社交不安障害の人が恐れる意外なもの
こんにちは、Soratoです。
今日も社交不安障害について書いていきます。
肯定的評価に対する恐れ
私の本では、社交不安の代表的な傾向として「否定的評価に対する恐れ」を取り上げましたが、他にも社交不安の代表的な傾向として「肯定的評価に対する恐れ」があげられています。
厳密には、「公の場で好ましく評価されることに対する恐怖の感覚」と定義されており、認知行動療法のひとつであるHeimbergのモデルでは、「地位があがることで他者から脅威だと思われていないかという懸念」とも示唆されています。
社交不安の人が「失敗して恥をかくのをひどく恐れている」というのはわかりやすいでしょうが、実は、社交不安の人って意外に「うまくいくことを恐れている」人もかなり多いんです。
私もすごく当てはまるタイプだったのでわかりますが、私の感覚でいうと、
「うまくいくことで妬まれるんじゃないか」
「変に目立って攻撃対象になったらどうしよう」
という不安ですね。
これって一般的にもありうる感覚で、「出世したり成功したら妬まれたり攻撃されることもあるかも?」という不安がよぎることはそう珍しいことではないと思います。
実際、どの世界でも有名になればアンチは出てきますし、会社の出世でも「あいつが出世するとか面白くねーわ」という人はいます。大金持ちになっても人から妬まれることは絶対にありますよね。
ですが、社交不安の場合、それらの感覚に「死ぬほど悩む」って感じかな?
また、私の意見ですが、これは現実に起こりうる可能性はほとんど関係ないと思います。
例えば、私は大分前に個人ブログでグーグルアドセンス(グーグルの広告)をやっていましたが、何の経験もなく、アクセス数もゼロに近い時から、「うまくいって妬まれて攻撃されたらどうしよう」と死ぬほど悩んでました。
普通に考えると、「アクセス数もほとんどないのに何で悩んでるの?」という感じでしょうが、私も、頭では分かっているものの、怖くて何もできなくなってしまうくらい深刻なものでした。
大抵の心の病気の症状は一般的な心の問題の延長線上にあり、うつ病の抑うつ感でも、抑うつ感を感じることは誰しもありますが、うつ病になると、抑うつ感が暴走して制御不能になるという見方ができると思います。
「妬まれる恐れ、攻撃される恐れ」も一般的な悩みの感覚が暴走して制御不能になっている状態と考えてもらうと少しイメージしやすいかもしれません。
誉められるのも苦手だった
また、私は誉められるのが苦手というのもありました。
人に誉められても本心では全然そう思えないし、どうリアクションしたらいいかの方が心配で、無難なリアクションを考えて何度も頭の中でシミュレーションしていました。
これも肯定的評価に対する恐れに含まれるかもしれませんね。
こういうところが心の病気の複雑なところで、社交不安の人って劣等感が強く、否定的な評価を恐れている人が多いので、そのままひっくり返して、他人がポジティブな評価をすれば自己肯定感が上がって自信もついて回復するという単純な話ではないんですよね。
例え、周りの人が、
「素晴らしいパフォーマンスだね!」「リーダーの資質があるよ!」「そのままグングン出世しちゃいそうだね!」
と、一生懸命誉めまくっても、
・・・
・・・
・・・
・・・
「いや、実はそれも苦手なんすよ(:´·ω·`)」
ってなっちゃうんですよ(笑)
肯定的評価に対するエクスポージャー?
社交不安の人が苦手としている場面に向き合う療法をエクスポージャーと言いますが、肯定的評価に対するエクスポージャーという方法も提案されているようです。
エクスポージャーって暴露療法なので、肯定的評価に暴露する(身を晒す)ということですが、これって表面的にみると、社交不安の人を皆でポジティブに評価して自信をつけさせる方法にみえるでしょうが、実は社交不安の人を「肯定的に評価されるという苦手な場面に慣れさせる」トレーニングです。
心の病気って本当に複雑ですよね。
ちなみに、肯定的評価への恐れは社交不安のひと皆が持ってるわけではありませんが、無視して話を進めていくわけにはいかないほど確認されている明らかな傾向で、否定的評価への恐れと肯定的評価への恐れの両方を持っている方が社交不安の重篤度は高くなる傾向があるようです。
まだまだ発展途上であり、わかっていない部分も多い分野ですが、社交不安の人は「うまくいくことに慣れないといけない人もいる」ということは確かですね。
(念のため書いておきますが、「全員」ではないです)
私は今でも覚えてますが、昔ブログのアクセス数がガツンと上がったとき、嬉しいという感情ももちろんありましたが、それよりも多くの人に自分の稚拙な文章が晒されているという怖さの方が圧倒的に強くて布団の中でブルブル震えてました。
心境的には、「申し訳ない」「本当にごめんなさい」という気持ちだったかな。
私はとにかく「人に評価される」ことが怖かったのですが、どんな仕事でも上に行けば行くほど多くの人の目にさらされることは必然です。もしかすると、社交不安の人は、なんとなく気持ちがわかるという人もいるかもしれませんね。
(「うまくいくことで他者に攻撃されるかも」という懸念って、「結局、最終的には他者に否定的に評価されることを恐れてるんじゃない?」という疑問も出てくるかもしれませんが、別物という見方が優勢のようです)
私はどう解決したか
私の解決法としては、前者(妬まれたらどうしよう、攻撃されたらどうしよう)は怖いという気持ちを抱えながらも、少しずつ、自分のできることをこなしていくうちに、次第に怖さを抱えながらも前に進んでいけるようになりました。
これは一般的なエクスポージャー系と同じですね。
至極単純に、「怖いけど、やる」です。
私の場合は、怖いという気持ちが消えたわけではなく、『怖さを抱えながらも前に進んでいけるようになった』というのもポイント。
(私は森田療法やアクトの考えを取り入れているので、不安は克服しなくていいというスタンスです)
後者に関しては、正直、本を書き終えてから、「そういえば、誉められることも苦手だったな」と気づいたので、執筆中は頭にありませんでした。
特別な対策はしてませんが、気づいたときにはいつのまにかなおってました。
具体的には、以前は「どのようなリアクションが適切だろう?」と動揺していたのが、適当に「そうですかね?ありがとうございます」で流せるようになった感じです。
私は「誉められることは実は名誉なことだった」「うまくいっても批判されることなんて実はなかった」と認識が変更(?)されたわけではなく、人の評価にあまりふりまわされないようになっただけなので、その点で見ると肯定的評価も否定的評価も対処自体はあまり変わらないかなと思っています。
ただ、実際の回復は言うほど簡単な話ではなく、私は怖さを持ちながら一歩踏み出せるようになるまでに何年もかかっています。
私の場合、サポートがまったくない孤独な環境で立ち向かい続けていたので、時間は相当かかった方だと思います。
(ただし、多少の変化が出れば絶望感はなくなるので、死ぬほどきつかったのは初期のみ)
特に前者の「妬まれるんじゃないか」「攻撃されるんじゃないか」に関しては回復の過程を詳細に覚えてるので、いずれ記事にしようと思います。
参考資料
「社交不安症におけるポジティブな情報に対する認知バイアス研究の現状」
→webで見れるものとしてはこれが一番わかりやすかったです。タイトルをそのままコピーして検索すればでてきます
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