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ミャンマーの路地は噛みタバコのにおい

こんなご時世、旅行に行くのはなかなか難しくなってきました。

ましてや海外旅行なんて、次はいつ行けるのだろうという感じです。

知らない街を歩き回るのは本当に心が踊ります。

最近は旅行に行けない代わりに、

ふとした時にカメラロールを遡って、

昔の旅行で撮り溜めた写真を見返したりしています。

久々に見つけた写真をデスクトップの写真にしてみたり、

意外とこれも楽しいものです。


今まで訪れた場所はどれも印象深い所ばかりです。

それでも、特に心に残っている場所があります。

それは『ミャンマー』です。


「え、どこ...?」ってなりますよね。

私も行く前までは縁もゆかりもない国でした。

ざっくり言うと、東南アジアの国で、

東はタイ、西はインドに挟まれ、北は中国にも接しています。

多民族国家で本当に奥深い国なのですが、

これ以上書くと語りすぎてしまいそうなので、

今回はこの辺で。

またミャンマーの魅力は追々書いてみたいと思います。


結局、私はこのミャンマーという馴染みのない不思議な国に

大学1年生の夏休み全て、約2ヶ月間滞在しました。

現地ではローカルなアパートに、

他のアジアの国やヨーロッパから来た同世代の人たちと住みながら、

インターンをしていました。

このインターンや、外国人とのシェアハウス生活も、

それなりにネタに溢れるものだったので、

また機会があれば書いてみたいと思います。


こんな感じで、ほぼローカル住民の様に暮らしながら、

2ヶ月過ごしていたわけですが、

なんと言ってもミャンマーの路地のにおいは強烈なものがありました。

今となってはそんな強烈なにおいも懐かしいもので、

きっといつかまた、ミャンマーに降り立ってあのにおいを嗅げば

「あ〜これこれ」って感慨深くなるんだろうと思います。

なので良い意味でも悪い意味でも記憶に残るにおいなので

「匂い」でも「臭い」でもなく、「におい」と書きます。


初めはなんのにおいだろうと、不思議に思っていました。

色々混じり合ったなんとも言えないにおいです。(正直言って臭いです)


ミャンマーでは朝と夕方、食材を売る市場が道端の至る所に出現します。

野菜やら果物やら、生肉やら生魚やら、捌くものはその場で捌き、

なんでも売っています。(食品衛生のしの字もない感じ)

人の熱気と活気、異臭に溢れるその風景は壮観なものです。

と、まあ何が言いたいかというと、

この食材の残骸は道端にそのままなわけです。

そりゃまあ臭うだろうと。


でもそれだけでは語れぬにおいなのです。

そんな時私は気付きました。

この独特なにおいの強力なエッセンス。それは、

「噛みタバコ」

です。


馴染みないですよね。でもミャンマーの人たちは本当に、本当に、

みんなこの噛みタバコを四六時中くちゃくちゃしています。

そして、その噛みまくったタバコ(なんかの葉っぱ)の残骸、

及び溜まったつば(不快な思いにさせたらすみません)を

そんへんにぺっと吐き出すのです。(汚い)

で、またそのつばが真っ赤なのです。

最初はその光景にぎょっとしました。

ミャンマーの人たちはなんか道端に血を吐きまくっているぞと。


この噛みタバコにはスパイスが色々入っているらしく、

そのなにかのスパイスが赤いので、

つばも赤くなってしまうんだとか。

このスパイスの配合の仕方が、また店によって違うみたいで、

噛みタバコ屋さんはその配合の仕方で差別化を図ってるらしいです。

と、それはさておき


ミャンマーに行くと、道端の街灯の下や排水溝の近く、

日本だったらタバコの吸い殻が落ちているであろう所が、

赤いペンキをポタポタこぼした様な跡で染まっています。

そしてこの赤い跡がにおいを発しているのです。

草をいぶした様な、スパイスが混じった様な、

なんとも表現できない濃ゆいにおい。

これこそ、私にとってミャンマーのにおいなのです。


噛みタバコと市場の残り香


「あ〜ミャンマーだ」って思うにおいです。

日本に来た海外の方が、「醤油くさい」って言うのと同じ感じ。


においって記憶と強い関係性があるらしいですね。

元カレ/カノの香水の匂いをふっと嗅いだときに記憶が蘇る、みたいな。

なんかそんな歌を最近聴いたな、みたいな。


ミャンマーの写真を見返しながら、

そんなにおいを思い出していました。

もう一回嗅ぎたいな笑、なんて思いながら。

近いにおいを嗅いだわけでもないのに、

写真を見返しながら思い出しました。

でもそのくらい印象深いものでした。


いつかまた旅行に行けますように、そんな思いをひしひしと持ちながら、

また一週間頑張ろうと思う日曜の夜です。

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