ラジオから

夜、ときどき眠るまで聴くお気に入りのラジオ番組がある。

元々は音楽が好きな私に、リスニングの勉強にもなるからと韓国の友人が勧めてくれた韓国の番組だ。
毎日2時間、ひたすらリスナーからのお便りとリクエスト曲を放送し、日曜以外は生放送。
最初の頃は韓国語がよく聴き取れず、お便りの内容はよく分からないこともあったけれど、とても耳心地のいい番組で、気づいたら聴き始めて10年ちょっと経っていた。

リスナーからのリクエスト曲は、私の世代や好みにピッタリだ。
韓国で育った訳でもなく、当然昔の韓国を知らないけれど、なぜか懐かしい感情を抱いたり、じーんとしたり…。
この番組で知った曲も多い。

留学していた頃もときどき聴いていたが、帰国してしばらく経った頃だったか、お便りとリクエスト曲を投稿したことがあった。
その夜は何だか、韓国での生活が懐かしく、ちょっとセンチメンタルな気持ちになっていた。
図書館やカフェで夜遅くまでたっぷりの宿題に追われる日々。
今となってはいい思い出だが、当時は課題やテストに失敗できないと、結構追い込まれていた。
そんな中で、よく行くカフェで流れていた曲。

거짓말 거짓말 거짓말 — 이적
イジョクが歌う『嘘嘘嘘』

当時流行っていたのだと思うが、本当によく耳にした曲だ。
懐かしさから、何気なく当時の思い出を投稿し、この曲リクエストをしてみた。
まさか読まれるとは思いもせず…。

そして、そのまさかが起きた。

一瞬耳を疑ったが、ラジオから流れてきたのは紛れもなく私の話、私の名前、私の思い出の曲だった。
曲が流れる中でじーんとした気持ちになりながらも、ふと見た番組リスナーのタイムリーな投稿を見て、思わずちょっと笑ってしまった。

そこには、夜11時近くにこの曲を聴いてしまった切ない?気持ちや、センチメンタルな気持ちが、明るい表現でツッコまれていていた。
この時間にこの曲は、ズルいらしい。

どうやら他の皆さんを巻き込んで、夜な夜なセンチメンタルな空気を電波で広げてしまったようだった。

この記事が参加している募集

#思い出の曲

11,317件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?