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べぼの粒々辛苦妊娠記 第12話『運命の日』

やってきた運命の日。
採血をして、夫と待合室でボーっと過ごしていました。
鞄からハンドタオルを出して、泣く準備もしていました。
もうなんて言われても怖くないぞ、と。
だけど、もしだめだって言われたら、次はどうしよう……と、ふと考えました。
補助が出るとはいえ、お金がかかる。
精神的にも体力的にも削られる。
これにいつまで耐えることができるだろうか。
次もだめだったら?
そう考えると、この先どうしていいかわからなくなりました。

そうこうしているうちに診察室へ呼ばれて入ると、A先生が待っていました。
開口一番「おめでたですね」と。

前回と違ってホルモンの数値が一定の高さまである、とのことでした。
きちんと数値で見せてくれました。
確かに、前回とは全然値が違いました。
胚盤胞は、無事に着床してくれたようなのです。

やった……!
ついにここまできた!!!

嬉しさなのか、何なのか……何とも言えない思いがこみ上げてきました。
今までのがんばりが、成果となってくれたのだと。
アルバイトをやめて、体外受精だけに集中してよかったと、心から思いました。
もちろんそれに集中できたのは、夫の助けがあったからこそです。

でもここからが、また新しい始まりなのだと。
妊娠したからといって、必ずしも出産できるとは限りません。
途中でだめになってしまうかもしれない。
何が起こるかはわからない。
気を引き締めていこうと思いました。

ふとお腹を触ると、なんだか暖かい気がしました。
もちろん、まだ細胞レベルなので体温も何もありませんが。
ちなみに、残っているラクトフェリン(サプリ)とワンクリノン(膣用ゲル)はなくなるまで使ってくださいとのことでした。

不妊治療を専門としているA先生のクリニックには分娩(入院)施設がなかったのと、私は精神の病気を抱えていたため、通っているH先生の大学病院の産婦人科に紹介状を書いてもらい、転院しました。
ここから、私の妊婦生活がはじまります!

赤ちゃんは暫定的に「ミニ太」と名づけられました(笑
もちろんまだ性別はわかりませんでしたが、なんとなく「ミニちゃん」「チビちゃん」とかではなく「ミニ太」でした。

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