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【ランニング】頭の中身を空に置いていく作業

今朝起きてから走るまでの間に長いことグダグダしてしまった。
6時台に走ろうとしていたところ、気づけば8時半を過ぎていた。
どんどん気温が上昇しているのが室内にいてもわかる。

起きてから走るまでに時間がかかりそうな日は、大体起きたときの感覚でわかる。しゃきっとしないのだ。また少し嫌な夢を見てしまったからかもしれない。
けれど、そんなことはこれまで何度も経験してきた。
そんなことじゃ慌てないよ。
走ろうかなと身体や心が思うまで待ってあげようじゃないか。
そして大体準備が整ってきた段階で、日焼け止めを塗るとあきらめる感じになる。
日焼け止めにはそのくらいの力がある。
日焼け止めを塗ったからにはもう走らないの選択肢はない。
なぜだかわからないがそれはスタートの合図。

走りだせばこっちのものだ。
それもよくわかっている。
少し遅れてしまったので、早朝の静かな世界の空気はもう味わえないのだけど、少し世界が起き始めた匂いがする。8時台の匂い。
近くで工事をしていて、交通整備のおじさんが歩行者を気遣うようにこちらを見ていた。安全第一がモットーな私としてはありがたいと思った。

汗をたくさんかきながら息を切らしていると、思い出したのは小学校6年生の時の担任の先生だった。マラソンが得意な40代くらいの男の先生で、教室にいつも汗だくで登場した。朝の走る時間に一生懸命走っていたからだ。前の方の席にいた私は、その先生が汗だくで息を切らして登場するのを見て、他の生徒が思うのと同じく、嫌だなあと思っていた。
そういうのって小さいようで大きくて、なんとなくその先生には近寄りにくかったのを記憶している。理不尽なことで怒られたこともあった、ような気がする。変なことで怒る人だな、と思ったこともあったような気がする。
先生には申し訳なかったな。今思えばその先生と今の私は同じ状況なのに。走ることでストレスから解放されていたのかもしれない。先生の中にいろいろあったに違いない。
考えても仕方がないこと。
汗だくの思い出が空に消えていく。

空はなんでも吸収してくれるから、走りながら思い出した諸々は空に置いてしまえばよい。

自分の中に2人いて、一人はもう一人の自分に『へらへらするな』と言う。
もう一人はそれに対して落ち込む。
その繰り返しだった。
けれど今は少し違う。
『へらへらするな』と言うのは変わらないけど、言われた側は構わずへらへらしているよ。
強くなる道中の今の話も、空にいったん置いておこう。

思ったより暑くなかった。
家の近くでまだ工事のおじさんがいた。
家の中は少し線香の香りが漂っていて、熱々の身体で息を切らしている自分が異質なもののように思えた。
へらへらしたままお風呂に入った。

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