そらQラジオ_19

そらQラジオ_第19回【text】(2020年2月13日) ファシリテーションの可能性④

そらQラジオ【text】ではラジオの内容を整理してお届けします。第19回は肝付町 保健師の能勢佳子さんとの中編です。介護福祉におけるファシリテーションの可能性とは…?(能:能勢さん、永;永山)

 要点メモ
・「自分の思いを伝え、互いに認め合う」文化はあった。改めて「ファシリテーション」を体系的に学び、保健師が感じていた「地域との乖離という危機感を突破できる」と感じた
・大事なのはスキルだけではなく、それによって起こる場の変容やひとりひとりの変化にフォーカスすること

住民と職員で作りあげた話し合いの文化はまさに「ファシリテーション」

能;「ファシリテーション」を当時知らなかったけど、確かに、自分事と感じ、自分の思いをちゃんと伝えたり、互いに認めあったりというのを試行錯誤しながらやっていました。
永;私が能勢さんと出会ったのは「鹿児島県地域づくりプロデューサー養成講座(以下プロデューサー講座)」の講師に来ていただいた時でした。その時に衝撃を受けたんですよ!肝付町では地域が自分たちで語り合いの文化を作り上げていて、自主サロンというものが出来上がっていました。
能;担当職員の中では、「自分達がいなければ成り立たないもの」というのは続かなのでは、この広い町では限界がある、という懸念がありました。しかし、住民の方には、それを維持できる経験と力があるので、そこを少しサポートすることが出来れば住民で運営できるということを、職員がすごく意識していました。その職員のおかげで、私も学ばされたところがあって…自立支援って個人だけが対象ではなく、そのグループの人たちが、「自分たちで自分たちを」作っていけるようにするのも、自立支援だよねという話もよくしていましたね~

「鹿児島県地域づくりプロデューサー育成講座」とは 県地域づくり実践力養成事業。地域づくりに意欲や関心のある方,地域づくりに携わっている方に向けた,学びと実践のための講座。(鹿児島県HPより)

 
ファシリテーションが保健師業界の危機感の突破口にするを知った時の衝撃、感じた手ごたえ

永;すでに、現場レベルで地域の皆さんと一歩ずつステップを踏んでいくという実践をしていた能勢さんたちが、改めてファシリテーションに意識が向いたきっかけは何ですか?
能;プロデューサー講座の中でのファシリテーションの学びの場を見て私は「そうか~~~~!!」とすごく衝撃でした。スタッフはファシリテーションに出会って、「そうか、みんなには力があるんだ」っていう手ごたえを得たと言っていました。ちゃんと体系化した学習をさせて頂いたのは実は永山さん達のプロデューサー講座です。
永;自分で体系化と言うのもなんか恥ずかしいんですけど(笑)一旦枠組みをしっかり捉えて 、目的を整理して、ステップごとに学んでいくというのは新鮮でした?
能;新鮮でした!保健師の仕事の形がどんどん変化して、地区組織やいろんな組織の人たちと繋がって支える仕事から離れて、地域が見えなくなった時期がけっこうあったので、保健師業界では危機感がありました。語り合いの場に出られなくなると「上下関係が出来上がってしまう」んです。健康を害しそうな人の予防対策のために指導する人みたいになっちゃって…本当はご本人の力を引き出しながらやっていくお仕事なんですけど。その頃に改めてファシリテーションというものに出会ったんです。「自分たちが持っている危機感を突破できるかもしれない」って、衝撃でした。

スキルだけでなく、年齢・経験をフラットにして場の変容、ひとりひとりの中に生じる変化にフォーカス

能;アイスブレイクでする遊びがあるじゃないですか。なぜこれをしているのか、こういう形で話をしたりするのか、っていう体験をいろんな場面で、色んな人が積むいうのは、楽しいだけではないけど語り合うって大事だよねって感覚に繋がっていくんだなと。
永;遊びを通していろんなことに気づいてもらう。その道筋を皆さんにお示しするのがファシリテーションの形ですね
能;遊びなんだけど、年齢・経験をフラットにして、知恵を出し合っていくところがミソで、失敗してもその失敗から学べるという心もすごく楽しくて。そのことで自分のあり方に気づいてもらうというのに繋がってるなという経験をいっぱいさせてもらってます。
永;ファシリテーションを伝える時、ある場面ではどう対応するか、こういう人に対してはどう意見を受け止めるか、そういう現場で実際に使える技術を一個一個お伝えするんですよね。でもテクニカルな部分だけでなく、そこに起きる変容だとか一人ひとりの中に生じる変化そのものにフォーカスして、学んだことを収穫していただくというのは、やはり地域福祉に関わる方ならではですよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?