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そらQラジオ【text】第17回(2020年2月11日) テーマ:ファシリテーションの可能性②

そらQラジオ【text】ではラジオの内容を整理してお届けします。第17回は田鹿さんとの後編です。永山式ファシリテーション講座開演!(田:田鹿、永:永山)

<要約メモ>
・その場の価値を最大化させるために、場の設計をシフトする
・政策策定では、参加者の知見を最大化し、行政の役割を定義する本質的な議論をしたい
・議論の積み上がりを参加者と共有する7ステップ
①一人一人の準備を整える(チェックイン)
②目的の共有、グランドルールを決める
③場を分割して全体で共有
④記録をとる、可視化する
⑤いつまでに誰が何をするか共有
⑥気がかりの共有(チェックアウト)
⑦議事録を公開する
・ファシリテーターだけでなく、参加者がパフォーマンスを発揮する協力も必須

その場の価値を最大化させるために、設計をシフトする

永:今日はファシリテーションについて私がどのように捉えていて、 講座では何をお伝えしているかという話をします。 ファシリテーションって、議論を誘導するとか、強制的に一つの出口に引っ張っていくみたいなイメージがある方もいらっしゃると思うんですよね。
田: 確かにファシリテーターっていう人がいると ちょっと構える感じはありますよね。
永:あります。なんなら僕も構えます。ファシリテーションの定義や技術の共通の水準が定まっていないからです。僕はどのように位置づけ、どういう現場で使っているかと言うと、その場にいる一人一人が問題意識を持っているけれど、どういう風に議論を積み上げていったらいいか分からないみたいな現場が対象です。ファシリテーションって言うと会議の運用という所にフォーカスされがちなんですが、結構その前段階で勝負が決まっています。参加者の一人一人にどんな立場で参加してもらいたくて、その場を通してテーマをどう動かしていきたいのかをいかに設計できるかが実は重要です。主催者がどんな意図を持っていて、それは参加者にとってどういう価値があるのかを言語化していくところから始まります。例えば、先週のローカルキャリアの話でいうと、「兼業・副業の交通費助成を国が進めます」というテーマで意見交換をしましょうって言っても、「交通費助成に興味のある人」しか来ないじゃないですか。既に決まった制度に対しての意見交換だと、その場が動く可能性って少ないんですよね。もう少し色んな人達が参加したくなるような枠組みにどう切り替えるかって時に、交通費助成だけに留まらずに議論の枠組みを広げていきます。「ローカルに興味がある人達が今兼業副業をやれてないとしたら、そこにどんな課題があるか教えてください」という様に切り替えると、いろんな参加者にとって価値がある場になると思うんです。その場の価値をより大きくするためには、どんな設計のシフトがありえるか考えていくところが、まず最初の仕事になります。

政策策定では、参加者の知見を最大化し、行政の役割を定義する本質的な議論をしたい

田:政策を作るような会議で、参加者が主体的に意見を述べてそれが反映されることって、実は主催者はそこまで望んでいないんじゃないかと疑惑があるんですよ。 そういう場でのファシリテーションって難しいなって思うんですが、永山さんが自治体に呼ばれてファシリテーションするとき、 そういうことってないんですか。
永:あります。 鹿児島県内の某市町村の総合計画を作る研究会とかのファシリテーションをしています。主催者側との攻防戦と言うか、政策というと、主催者側である国都道府県市町村は、自分たちが何ができるかっていうところにフォーカスし、3カ年5カ年10カ年っていう型にはめざるを得ない部分があります。一方で、その場に参加している人たちの知見を最大化すると、結果的に出力は政策じゃないっていうこともあるわけです。国都道府県市町村が主体としてやるよりも、もっとできることあるよねという議論の方が本質的な場合です。だから本来は、本質的な議論に必要な期間、当事者の話まで広げた上で、国都道府県市町村の役割を定義しましょうっていうような設計にしたいですね。

議論の積み上がりを参加者と共有する7ステップ

永:設計を丁寧にした上で、実際に場を開く時、私はファシリテーションを7つのステップに分けています。まず参加者一人一人の準備を整える時間を最初に作ります。アイスブレイクと言いますが、私はチェックインダイヤルと言い変えています。「その場に入りますよ」と心の準備をしてもらい、かつ、本題に関係ある話しやすいテーマで少しディスカッションする所から始めていきます。あと、アイスブレイクは会の始まりだけでなく、会の途中に必要なことも。会議の途中でアイス化しているなと思ったら「少し酸素濃度が薄くなってる気がするんで5分ぐらい休憩しましょう」と一旦止めて、空気を入れ替えたりお菓子やお茶に手を伸ばしてもらったりとかします。
田:「場が硬くなってる」と直接言わず「酸素濃度」に言い換えるの凄いなって思います。「場が硬くなってる」とか言われるとそれがまた緊張感を助長してしまうので。
永:その辺の語彙は増やして行った方がお得です。あと、ファシリテーションをお伝えする時に、早い段階で伝えることは、場の目的を全体で共有すること、意識しておくグランドルールを決めておくこと、場を分割してから集約すること。例えば10人だと発言のハードルが高いなら3人1組に場を分割し、そこで出た意見を全体に共有します。そして、しっかり記録を取っていくこと。手元のノートとかパソコンでリアルタイムに議事を打ち込んで可視化していきます。会の終わりのタイミングでは、主に3つ。次のアクションを確認する、何月何日までに誰が何をするかということを全員で共有します。そして参加者一人一人から言い忘れた事や気がかりになるところを話してもらうチェックアウト。最後に議事録を公開していくというステップです。これらでかなり議論が積み上がり、参加者と共有していけます。

ファシリテーターだけでなく、参加者がパフォーマンスを発揮する協力も必須

田:会議が始まる前からの設計、会議の終わりから次のアクションにいかに弾みをつけるか。そうすることで参加者の満足度が上がり、実際に物が決まり動き出す。そういった期待に変えていけるのが永山さん式ファシリテーションですね。ファシリテーターだけでなく、参加者も知っておくべきだなと思います。
永:突き詰めていくと、いかに生きるか、みたいな世界。参加者一人一人がパフォーマンスを発揮することで状況はもっと良くなるはずだっていうある種の哲学みたいなのが背景にあるわけです。

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