そらQラジオ_18

そらQラジオ_第18回【text】(2020年2月12日) ファシリテーションの可能性③

そらQラジオ【text】ではラジオの内容を整理してお届けします。第18~20回の3回に渡り、鹿児島県肝付町の保健師、能勢佳子さんに、介護福祉におけるファシリテーションの可能性を伺います。今回は、能勢さんのお仕事や介護保険制度などを確認します。(能:能勢さん 永:永山)

< 要点メモ >
・広く人口が少ない肝付町だからこそ、専門職と住民が役割分担して支え合い
・保健師は地域に入り込み、様々なネットワークを持って健康を支える看護職
・介護保険=共助が始まりをきっかけに、皆で話し合う場ができた
肝付町
鹿児島県の東側、大隅半島の南東部。2007年、高山町と内之浦町が合併して誕生。308平方キロメートルの広大な面積に、人口は1万5千人(2019年12月末)。南北は約70キロ、車で約2時間かかる。


専門職領域と住民の助け合い領域、その分担が肝付町ならでは

永:肝付町は面積が広いが人口は少ない。集落によっては人口が1桁のところもありますね。ケアしなくてはならない面積が広いけれど職員数は限られているから大変ですよね。
能:専門職は圧倒的に少ない。役割分担として専門職でないといけない部分と、住民同士の助け合いの中で生きていく部分を組み合わせているのが肝付町の形です。


保健師は「コミュニティの中で、様々なネットワークを持ち、健康を支える看護職」

能:保健師と看護師の国家資格は違います。自分たちが健康でいるためにコミュニティの中でどういうことができるか、みんなで努力して物事を変えていく支援する看護職が保健師です。病院ではなく行政で働いている人が多いというのが特徴になります。
永:以前まちづくりで現場には入ったとき、地域の本当の困りごとは、民生委員が良く知っていて、その背景には、地域を俯瞰的に見ながら重点的に支援をする保健師の存在も大きいと感じました。
能:それは嬉しいです。保健師は、地区の色んな組織の人に知ってもらい、利用してもらうことを意識しています。民生委員や自治会長の会議に行ったり、公民館長とも繋がったりして、社会教育の中で健康管理をどう取り扱ってもらうか、連携しています
永:地域おこし協力隊などにも民生委員や保健師とのネットワークも大事にしてもらいたいですね!!


介護保険=共助が始まりをきっかけに、皆で話し合う場ができた

永:介護保険制度が始まった2000年に、その現場の最前線にいらっしゃったということですが、どんな状況でしたか。
能:それまでは介護サービスは所得に応じた応能負担で、「公が救う」というイメージ強かったです。でも、介護保険は「保険」なのでみんなで出し合う「共助」。所得に関係なくみんな一緒の1割負担です。そして、使える人の段階を設定していたので、それまでサービスを受けていた人が、まだまだ元気だからとサービスを受けられなくなるという心配もありました。金額が高くなればやはり年金で生活してる人にとっては捻出するのが厳しくなります必要な人に人の必要なサービスがちゃんといくにはどうしたらいいか。そこで、自分たちが元気でいるために、自分は何がどの程度できて、できないことはどんなところか、どうやって補い合えるを、かなり住民たちと話しました。例えば、ご飯は誰かに作ってもらえないと食べられないのか、自分はどこまで作れるんだろうとか。介護保険制度は半分は公費です。役場や一部の人たちが考える形では合意はできないだろうということで、どんな制度かわかっていただくこともしました。そういうことを、公民館に集まって話し合っていきました。一人暮らしや高齢者夫婦が多かったので、みんなで寄る場を作っていこうよ!という活動が始まっていましたね。
永:当時の保健師さんはそこまで重いもの背負って仕事されていたのですね。
能:制度ができたとき、窓口に来る人を見て、「年金から引かれる」ことの重大性を感じました。月に2千円でも、引かれると、そのお金でやっていたことができなくなると泣きながら話される人がいました。できるだけみんなが合意できるようにやるにはどうしたらいいんだろうと、わかってもらうしかなかったです。


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