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箸休め

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連載小説の息抜きに、気ままに文を書き下ろしています。文体もテーマも自由な随筆、エッセイの集まりです。あなた好みが見つかれば嬉しく思います。
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2021年4月の記事一覧

「日本の物作りの美しさよ 使って心地好さを実感する風呂敷」

これ、何だかわかりますか?ヒントはマウス。そうです、自分の大事な相棒、ノートパソコンなんです。 ずっと、購入した時にパソコンが入っていた袋状の不織布のまま、リュックに入れて持ち運んでいたのですが、表面が縒れてどんどん悲惨な状態になってきまして。これは野暮だと自分に駄目出ししました。 それで不図、市場にはノートパソコンやタブレット端末を鞄に入れて持ち運ぶ為の、内袋みたいなものを売っているのではないかしらと、漸く思い付いたのです。 自分が欲しいのは、日本製の商品でした。丁寧

「日本の物作りの美しさよ こぎん刺し」

 一昨年のことです。以前こちらでお話したこともあったかと思いますが、人生初の青森県へ降り立ちました。津軽だとか本島の端だとか林檎の木の一杯植わっている処だとか、行きたい処はそれはもう沢山在ったのですが、色々調べていて最終的に辿り着いたのが奥入瀬でした。それは長編小説「よりみち」で物語に落としましたので、いつか機会が訪れれば旅紀行として語るのも面白いかと思います。  その青森の旅でどうしても手にしたかったものの一つが「こぎん刺し」でした。便利な世の中ですから、手に取ろうと思え

「トニー・スタークにはなれないけれど、名も知らぬあの子に温かいスープを届けたい」

トニー・スタークは、自分にとって憧れのヒーロー像の終着点だった。世界中が彼等の活躍に夢中になった、マーベル作品のヒーローの一人、アイアンマンの生みの親であり中の人である。ロバート・ダウニー・Jr演じるトニー・スタークは天才的な頭脳を持ち、人間として紆余曲折しながらも、最期は愛する家族を残して、ヒーローとして世を去った。 私は長い事、家族第一で生きて来た人間である。幼いころから、まるでそれを使命と定めて生まれて来たかと思う程に、母親の右手として、或いは左手でも足でも良い、兎に