「KIGEN」第八十一回
翌十三日目、基源はベテラン大関と当たって勝った。天秀峰は関脇と当たり、昨日の失態をかき消す様な豪快な上手投げで勝ち、負けを引き摺らなかった。そして十四日目、基源は結びの一番で横綱戦が組まれた。大注目の一番に、この日最高の五十二本の懸賞がかけられ、土俵周りを懸賞旗が何周もして場内アナウンスが続くと、館内がどよめき拍手が沸き起こった。またしても横綱が貫録を見せつけるのか、それとも新たな風を巻き起こしつつある基源か。淡々と仕切りを終えて、時間いっぱいで力強く仕切線に手を着いた基源