「正方形の織り成す和菓子模様から国境を越える」
ビニールの包装を外した途端に木の香しさが鼻腔にすうと広がって、途端に林の中へ立たされていた。気分が大変に良い。逸る気持ちを抑えながら、手元の木箱の蓋へ手を掛けた―
ああ、何と云う愛らしさか。これは、和菓子屋さんでとんと巡り合った節分の和菓子の升箱である。この正方形の慎ましい箱の中へ紡がれた和菓子の美しさに暫し見惚れる。形、並び、配色。背景を思い浮かべない訳にいかないではないか。凝と眺める内、心模様は水流のように滑らかに運ばれて、そしていつしか、国境を越えていた。
日頃、自