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ちょっと思い出しただけを観てみて


自分のベスト映画をあげろと言われたら候補に上がるのが「ちょっと思い出しただけ」。
予告を観た瞬間からこの世界観を好きになってしまい、「初日に観よう」と決めた。
(少しネタバレあるので気になる方は注意で)

初日のレイトショーで観たこの映画は、毎年同じ日を過去に戻りながら進んでいく。
人生は進んでいくということを逆説的に感じながら、2人にとっては幸せな時間に戻っていく。

この映画の好きなところはいくつもあるけど、一つは間違いなく「タクシー運転手」という職業。恋愛をしていても常に2人以外の人と関わりながら、そこで多くのことを気づいていく。
そんなことを間のタクシー場面では感じながら、付き合っている時の相手といない時間を想像した。

この映画を好きな人の多くはこの映画を見ながら、自分なりに「ちょっと思い出しただけ」だったと思っていて、自分も変わらずそうだった。
この映画を好きになれたのは、自分にとって過去が「ちょっと思い出しただけ」という思い出になれていることを気づけたからだと思う。


元恋人と別れた時は思い出したくない記憶であり、どうにか忘れられないかと願ってもいた。意識すればするほどよぎる記憶はそこからの時間を経て、思い出に変わっていったんだなと。
社会人になり早めの結婚をして、幸せな生活を過ごしながらこの映画に出会えたことはいい巡り合わせなんだろうなと思う。

最後のシーンで「ちょっと思い出しただけ」と言いながら思い出していた瞬間を、人が一生で何個持てるのはわからないけど、そんなに多くはないんじゃないかと思うし、そんな瞬間が自分にあることに気づけたことがとてもよかった。

そんなことを最後のエンドロールで「ナイトオンザプラネット」を聴きながら思っていた。
ただ昔が良かったよねではなくて、昔こんなことがあったからこそ、いまをより少し前向きに生きようと思えた気がして、ほんとそのくらいがちょうどいいなって。
過去を肯定も否定もせずに、今を楽観も悲観もせずに、ただ過去を忘れずに思い出しながらいまを生きていく。

こんな映画で、本当は一つ一つ好きなシーンを書いていきたいなと思うので、また別の機会にその辺は書いていきます。

観てない人は是非一度。
観た人も是非もう一度。

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