ブーケ / 御伽田カズヤ 音楽レビュー
御伽田カズヤさんの「ブーケ」は2021年9月5日に公開されたオリジナル曲です。Vtuber / Vsingerとして活動されています。楽器はドラムが本職です。作曲作詞、映像、イラストなどマルチに活動されています。
「ブーケ」について
ストリングスとアコースティックギターがゆったりと流れるバラードです。御伽田さんの素敵なボーカルと共に途中で入るギターソロがとても印象的です。どの楽曲もそうなのですが、音の空間の広げ方が特徴的で素晴らしく聴くものを魅了します。
感想など
「ブーケ」と聞いてなにを思い浮かべますか? 私は結婚式でした。この曲が公開する前にタイトルだけを知って、そう思ったのです。
花嫁が参列者に背を向けブーケを放り投げるセレモニー、ブーケトスですね。とても幸せな雰囲気だと思わせるタイトルです。
映像では一人の女性がシンプルなティーセットが置かれたテーブルセットの椅子に腰掛け、大きな窓越しに海が見える風景を眺めています。ティーセットは二つあるのに相手がいません。これを見て思わず寂しそうという感想を抱きました。
幸せを感じさせるタイトルなのに……?
公開直後、この矛盾は私を混乱させました。そもそも結婚式に使わるブーケは愛の言葉を忍ばせてプロポーズする由来が元になってるのだそうです。ブーケトスはその風習が発展したものだとか。
歌詞に登場する人物(映像から女性だと思いますので以下「彼女」とします)は意中の人にプロポーズか告白をする前の気持ちを歌っているのかもしれません。
彼女の躊躇するような、自信がなさ気な、そんな不安な気持ちを表しているようです。
意中の人に好かれたい、愛されたいという気持ちは誰にでもある心境です。しかし、誰もがその通りに行かないのは世の常です。私もそうです、悲しいね。
だからこそ、様々な試行錯誤を繰り返し、すれ違いながらも、傷つきながらも求めていくのです。簡単に想いが成就しては誰もこんな気持は持ち合わせることはないでしょう。
そんな心境の中には少し人としての醜さのようなものも当然あると思います。見栄です。誰もそれを否定できはしないし、責めることはできないのです。むしろ、人間臭さやいじらしささえ感じます。
少しでも自分を綺麗にみせたい、色とりどりの花をあわせたブーケのように。
最後の歌詞が冒頭の「言葉」が「気持ちに」、「両手いっぱい抱えられるだけ」が「一番綺麗なところだけ」に変化しています。
純粋でまっすぐな愛情が少し歪んでしまってるように私は感じました。特に「鈍く光る切先」という歌詞は優しげなバラードには痛烈な言葉です。
色とりどり言葉を切先で摘み取り一番綺麗なところだけを見せようとする心情、とても切ないです。
誰にでもある心のやましい部分を優しく切り出し、曲として紡ぎ出す。御伽田カズヤさんの詩の素晴らしさ、とても大好きです。
おわりに
この曲を最初に聴いた後に感じた矛盾や混乱を解決してくれたのは、同じ御伽田カズヤさんのオリジナル曲である「冬も好きなの」でした。この曲もブーケと同様にバラードです。
この「冬も好きなの」も歌詞がとても素晴らしくて大好きな曲です。内容も切ないのですが、それをより強烈な印象として視聴者の私に植え付けたのは動画の一番最後です。これを見てブーケも優しいだけのお話ではないのかも、と気付かされたのでした。
この曲のようなバラードもあればサキュバスのリヤさんとのコラボ楽曲であるMOON DANCEや他のVtuberさんをモチーフにした楽曲などなど、御伽田カズヤさんの他の楽曲もとても素晴らしいので是非きいてほしいな!
各種リンク
Twitter:御伽田カズヤ(https://twitter.com/_K_OKADA_)
御伽田カズヤさんのオリジナル曲の再生リストとコラボ楽曲の再生リストです
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