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昭和の洋食 平成のカフェ飯 家庭料理の80年

📚【昭和の洋食 平成のカフェ飯 家庭料理の80年】
阿古真里 2013

阿古真里さん、食文化を中心に暮らしの来歴や生活誌を研究している作家さんです。
2017「料理は女の義務ですか」
2021「日本外食全史」
2023「おいしい食の流行史」
2024「日本の台所とキッチン一〇〇年物語」
令和の現在も書籍の発行は進んでいますが、今回は「2013年」の書籍。こちら、上野千鶴子さんがエッセイの中で取り上げていて、記憶に残りメモをしていました。女性の暮らし方、生き方の変遷を料理とともに辿ることができ、懐かしく、興味深く時代を知ることができる書籍です。

西洋への憧れは江戸時代末期の開国から始まっていて、明治時代には西洋料理は女学校でも教えていました。コロッケ、ライスカレー、トンカツ。しかし実際にそれらを日常食にしたのは一部の階層のみになります。昭和に入り、戦後の経済成長で西洋化は一気に進みます。昭和半ばに急速に浸透していった料理はサラダです。テレビや雑誌で伝えられ、野菜を生で食べられる衛生環境が整う。こうしてサラダは日常食になりました。

1953 テレビの本放送が始まる
1956 日本テレビ 奥さまお料理メモ
1957 NHK きょうの料理

食生活が豊かになり、時代が変化していきます。主婦は、ご飯に味噌汁、漬け物に何か一品をつける、という繰り返しではすまなくなります。レパートリーが豊かで料理上手が当たり前になると、さらにハードルが上がります。料理には、見栄えも重要となります。

1966 きょうの料理 カラー放送
1970 オールグラビア雑誌 アンアン創刊
1970 主婦の友 カラーページで特集
1977 an・an famille クロワッサン(のちにクロワッサン)

恋愛結婚が主流になります。そうしたなか、料理も移っていく。
男性のハートを掴む手段として料理が注目されるようになります。
10代少女向けファッション誌ノンノも料理記事に力を入れます。

1980年代 ノンノ・クッキングと題して毎号のように料理記事を掲載
1985 ハーブを使った料理レシピが登場 

家庭料理より目立つ形で本格志向が進む時代に入ります。

1983 漫画 美味しんぼ
1985 漫画 クッキングパパ
1985 料理雑誌 オレンジページ
1987 料理雑誌 レタスクラブ
1988 女性向け情報誌 ハナコ
1988 漫画 天才柳沢教授の生活
1990 男性向けグルメ誌 ダンチュウ
1990 すてきな奥さん
1993 TV 料理の鉄人
2003 クウネル
2003 天然生活
2004 マート
2009 漫画 花のズボラ飯
2007 きょうの料理ビギナーズ
2008 TV 太一×ケンタロウ 男子ごはん


🥖✨🥒✨

塩味・中華風・味噌味・アンチョビ味・韓国風・エスニック風・ヨーロッパ風・東南アジア風・チーズ味・・・創作料理・無国籍料理・・・。
もう大変。僕らは何を求めているのか、ついていくことが目的なのか。

〈料理人は毎日決まった料理を作り続けるのが仕事〉
そういう時代はもう過ぎ去っている。主婦、女子が席巻していた世界のなかで、男子ごはんも進んでいる。

氷水から取り出し、塩を振ってかぶりつくトマトは最高です。でもこれは「素材のチカラ」であって「料理」ではない。
「素材のチカラ」を取り込む料理、それが「料理のチカラ」。いまはそれも当たり前になってきました。いまはそこから生産者の姿、素材の見栄え、を必要とされているように思います。(それでもまだまだ過程なのだ。)
・・・もう大変。

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