古代ワインの謎を追う
📕『古代ワインの謎を追う』
ケヴィン・べゴス 2022
著者べゴス氏は2008年の春、ヨルダンの首都アンマンのホテルで、ある「客室備え付けのワイン」に出会う。その赤ワインの「文字も絵も古風な見慣れないラベル」にはこう書かれていた。〈製造・瓶詰め クレミザン・セラーズ/聖地-ベツレヘム〉。どのワイン事典にも掲載されていないばかりか、聖地一帯の葡萄畑は途絶えていると書かれている。カルベネ、シャルドネ、ピノ・ノワールといったワインの世界を席巻し続けている「高貴品種」とは明らかに異なる、この「クレミザンワイン」が一体どのような品種で作られているのか、ひょっとして「始祖品種」なのではないだろうか?
著者は始原のワイン探しを求める旅に出る。パレスチナを皮切りにイスラエル、ジョージア、キプロス、ギリシャ、イタリア、フランス、そしてアメリカへと広がっていく。そこで出会うのは、遺跡から古代のワインを再現しようとする考古学者、DNA鑑定で古代品種の再生を目指す科学者、個性豊かな醸造家・・・。たった一本のワインから10年にも及ぶ著者の旅が、やがてワインの世界に新しい潮流をもたらすことになる。
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