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ノンちゃん雲にのる

石井桃子 1947

ノンちゃんは、小学校二年生になる女の子。
泣きながら神社の境内へやってきたノンちゃんは、ひょうたん池の上へ枝を伸ばした紅葉の木へ登り、誤って池へ落ちてしまう。

物語はここから空想の世界に入ります。

気がつくとノンちゃんは雲の上に乗っていて、そこには白いひげのおじいさんがいます。雲のおじいさんのやりとりを通して、ノンちゃん一家のあたたかな家族に平和への思いが込められました。この作品は「がくぶち」形式と呼ばれる、現実→空想→現実、という海外の空想的物語によく見られる構成を初めて試みたものでした。
それまで日本では、説話的空想物語を別にすれば、小川未明の詩的メルヘンや、宮澤賢治の独特な空想世界がる程度で、この分野はきわめて貧しいものでした。

新学期の朝、目が覚めるとお母さんはお兄ちゃんを連れて出掛けていました。
置き去りにされた悔しさに、ノンちゃんは泣いていたのでした。けれども、雲の上で、おじいさんにこの出来事を話すにつれて、悲しみはやがて、家族への愛に変わるのでした。

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