龍の子太郎

松谷みよ子 1960

山間の貧しい村にお婆さんと太郎と呼ばれる子供が住んでいました。
山の動物や笛吹きの上手な女の子あやと遊ぶ怠け者でしたが、
ある日寝込んだお婆さんは太郎に母親の話をします。
木こりだった父親は太郎の生まれる前に死んだこと、
母親のたつは村の当番で山に行ったまま龍になり産んだ子が太郎であること。
強く賢い子になって会いに来て欲しいと言い残して、
北の湖に去っていったこと。

ある日、あやが鬼にさらわれ太郎は助けに向かいます。
同時にこれが母親探しの旅となります。
旅の途中、白蛇や欲張りな長者、純朴な村人達と出会いながら、
貧しい土地と人々の暮らしを見て、
力だけではなく、愛と叡智と協力で地域が発展することや、
働く喜びを体験しながら生き方を学んでいきます。
そしてついに北の湖で母親龍に出会います。

立派に育った太郎に会えて嬉しいと涙を流す母親龍に、
太郎は山や岩を壊して湖の水を川にして流し、
豊かな大地を切り開くべく力が欲しいと懇願します。
母親龍と共に死に物狂いで大岩や山にぶつかっていきます。

とうとう成功したとき。
母親は人間に戻り、
出来た大地は豊かな土地となり、
村人達を飢えから救うことになったのでした。

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