アテネのタイモン

アテネのタイモン


『アテネのタイモン』1623年以前
シェイクスピア

アテネの貴族タイモンは、気前よく晩餐会を開いていた。しかし、次第に金庫の中は空っぽになっていく。破産寸前にも関わらず、タイモンは楽観的だった。これまで友人たちを厚遇してきたのだ。金が無くなれば、間違いなく誰かが助けてくれるはず。だが、金を用立ててくれる友人など一人もいなかった。

この作品は「不思議」が多い戯曲です。晩餐会によく来るアルシバイアディーズの友人とは誰なのか?。彼はどういう立場の人間で、どんな罪を犯したのか?。また、タイモンが自然死なのか自殺なのかも分からない。シェイクスピアの戯曲のなかでも、上演の少ない作品。書かれた時期に諸説あり、また、文体や構成などに多くの欠陥があると指摘され、未完という説や、共作説、実験作説などが長らく幅をきかせていました。

タイモンの台詞にある「金貨が人間の価値観を狂わせる」という趣旨の一部は、マルクスがその著「経済学」で引用しています。

なんでも。世の中。
金!金!金!

タイモンは死ぬ。
彼の墓碑銘を読むと、
世の中を(金を)
呪って死んでいったことがわかるのです。

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