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最後の一葉



🖌O・ヘンリー

スウとジョンジーは煉瓦造りの三階建ての最上階にアトリエを持っている。ジョンジーは肺炎で床についていて、蔦の枝が中ほどまで這い上がっている建物に目を据えて、葉の数を数えている。彼女は生きる気力を失い、もう五枚しか残っていない蔦の葉が散り終わるとき、自分の生命も終わるのだ、という妄想に陥っているのだった。
自分から生きたいいう気を起こさない限り助かる見込みはほとんどない、と医者に言われたスウは、大いに嘆き、下の階に住むベアマン老人にジョンジーの妄想を話す。この老人は傑作を描く夢を持ち続けているが、実は芸術の敗残者である。スウの話を聞いた老人は涙を浮かべながらも、スウに軽蔑、ジョンジーの妄想に嘲笑を浴びせるのであった。
・・・・その日は、雪混じりの雨が昼夜降り続いた。翌朝、シェードを上げた時、何と最後の一葉がまだ散らずに煉瓦の壁にしがみついていた。さらに氷雨と北風の吹く一夜を経ても散らない。
つまり。・・・・これはベアマン老人が描いた生涯の傑作。
氷雨に打たれながら吹きすさぶ風の中で煉瓦の壁に絶筆を振るったベアマン老人は、肺炎で二日後に死ぬ・・・・。
ジョンジーの生命と引き換えに。

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