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ドリアン・グレイの肖像

🖌オスカー・ワイルド (1890)

📖美貌の青年ドリアン。彼の理解者バジルが描いたドリアンの肖像画もまた完璧なまでの美と若さにあふれていた。「若さがある間に楽しむのさ」・・・・快楽主義者のヘンリ卿の影響で次第に「悪行」の道へと突き進む。そして肖像画を見て気づく。やがて自分は老いていき、この美貌を失うのだ、と。「永久に若々しいのが僕で、年老いて行くのがこの肖像画だったら!・・・・そのためなら・・・・ぼくの魂でも投げ出してもいい!」

📖彼の美しさは変わらなくなった。何年経っても若さも衰えない。悪魔に魂を売ったのだ。肖像画は・・・・。少しづつ醜悪なものへと変わっていく。彼の悪行が増すに連れて。彼の心が醜いまま、永遠に残るのである。・・・・その事に気づいて、数々の人々を不幸にしてきたドリアンは、過去と決別する為にこの肖像画を抹殺しようとナイフを突き立てる。・・・・悲鳴を聞き駆けつけた人々が見た光景は、美貌の青年が描かれた肖像画の側で、ナイフを突き立てられ横たわる醜悪な老人の死体であった。

📎人間としての精神を捨ててしまった者の心は、決して幸福にはなれない。本当の幸せを見つけることもできない。まして、人々の為に本当の善行などできるわけがない。

📎真実を見るのは難しい。誰か教えてほしい。自分の中の悪には目を背けてしまうもの。後悔して悲観してから向き合ったところで、結末は不幸で終わる。

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