どこかの私のパラレルワールド、6月13日。
そのトンネルはとても長くて、出口は全く見えなかった。
ナビが古いのか、トンネル自体も表示されていない。
僕はあくびをしながらハンドルを握る。
「今年も、半分来ちゃったね」
彼女が横でため息をついたので僕は驚いた。
もう六月。でも実感がない。
まるで自分たちの日常が何者かに食べられてしまったような感じだった。
今年はとてもおかしな年だ。
春はいつもより早い春一番に綺麗さっぱり吹き飛ばされてそのまま行方不明になった。
だから今年は桜を見ていない。
さよならもはじめましても同