9、最低を踏みつけて腹を空かせる
99匹のうちの1匹
無数に伸びる手が、ちから無く垂れ下がっている。ぼくを蝕む無知が、理想が、夢が、追いかけてくる。
夢を見た。
好きと嫌いは表裏一体。攻撃的であればあるほど、僕には魅力的に見える。関心のない君のこと、全く知らないを笠に着て、受け入れさせてよ。僕は味方だよって、根拠のない安心をさせてほしい。
僕は無関心なフリをして、劣情を抱いている。
感情の一致なんてできないから、したくないから、いっそのこと、これは僕だけのものとして処理します。きみの“好き”は知らないけれど、僕は、ちゃんと、きみのことが“好き”だよ。
世界のこと、理性を纏った暴力を、無関心でいられるほど、僕は子どもじゃなかった。他人の思考で繋ぎ合わされた僕の思考は細分化され、今だれかの思考の一部に組み合わされそうになっている。イケナイことなんてないのだ、ホントは。でも大勢の人間がイヤなこと、誰かの身勝手でやっちゃいけないって、誰かの思考に組み込まれているはずだよ。
それだけの話を、僕らは何年も踊り続けている。
踏みつけた最低がぼくを見下さないように、
ぼくは、空いた腹の中を埋めていく。