空巫女のお話_

第1話 巫女さんがやって来た~① 美人OL西瓜房子のお話~

 二〇XX年一月三日火曜日。二十一世紀の幕開けから早十余年。大阪駅の駅前に二一世紀までの残り日数を刻むでっかい卵のオブジェがあった事なんて当の昔話で、みんな忘れていて、もう記憶の片隅に追いやられてるだろうが、目まぐるしく進化を遂げるここ大阪の街(東の方)で、私は生まれ育ってきたらしい。

私はもう過去を振り返らない。というか昨日でやめた。
何故なら・・・
今日の私は絶好調だからだ。
というのも、元々私は占いの類を全く信じない=それだけで「君は女性らしくないねぇ」と何度も罵られたんだが、まぁ、その話は置いておくとして、昨日の新年会で占いマニアの上司(主任)に散々うんちくを語られた後、たまたま帰り道にまた路上の占い師さんがご都合主義の如くいるんだよな、これが。あの主任、サクラじゃないだろうか。その占い師は思ったより若く明らかに私より年下だが、淡々とした口調で
「明日は貴方にとって運命を変える出会いがある。」だってよ。これはもう信じちゃっていんじゃないっスか、これ! 正確に日にち指定キタコレ、一足先に春が来たか!正月早々、心意気な事を言ってくれる彼女に礼を言いたい。例え嘘だったとしても、嘘も信じ続ける事で、世界は変わるのだから。たしかそんな事も言ってた気がする。二日前届いた年賀状裏面にはデカデカと「立春」と書かれ、「まさに外道」と言わんばかりの殴りたくなるような満面の笑みの赤ちゃんの顔写真。年々、被害妄想のスイッチが入っちまって嫌味にしか思えない自分が心底情けないのだが、もうそれともおさらば。万年行き遅れ女とはもう言わせないわよ!さぁ、世の女性陣は括目するといいわ。今年こそは優良物件(イイオトコ)を見つけて、二十三年間の湿気た人生にピリオドを打つんだから!
そうこれは素敵なレディ、モーレツ美人OL西瓜房子の物語である。

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